116_「エボラ出血熱」は看病と葬式で広がった

保険に出てくる医療用語

116: 「エボラ出血熱」は看病と葬式で広がった

(2014-9-7)

2014年初頭から西アフリカで流行している「エボラ出血熱」の死亡者数は、8月に入って1000人を超えました(患者数約2000人)。
このウイルス感染症は最初に発見された1979年に始まり、過去何度もアフリカ大陸で流行しています。
2012年までの合計の死亡者数は1500人強なので、今回だけで30数年間の累計を超える勢いですが、その理由を多くの専門家が分析しています。
エボラウイルスは「空気感染(飛沫核感染)をしない」というのが定説であり、基本的に患者または遺体の体液や排泄物などに触れない限り感染しません。
しかし、発展途上国では医療体制が不十分な上に、現地人の多くは病院に行かず、家族や親戚縁者、近所の人が「看病」を行います。
その「看病」こそが感染を広げる大きな要因と言えます。
さらに今回は、感染地域が比較的「都市部」であることと「伝統的な葬儀の方法」が患者数を急増させたという説が有力です。
つまり「遺体を触る」という特有の葬儀によって参列者が感染します。
都市部の葬儀に出席した地方の参列者が「地元に帰る」ことで、感染者が広がったと考えられているのです。
「日本では流行しない」という根拠は、たとえエボラウイルスが国内に持ち込まれたとしても、空気感染をしないウイルスの拡散を止めることは難しくないからです。
ちなみにエボラ出血熱の症状の多くは、全身の様々なところから出血しますが、出血をしない場合もあります。
そのため、近年では「エボラウイルス病(EVD)」と呼ぶ国が増えています。
そのうち日本でも「エボラ出血熱」という呼称がなくなるかも知れません。

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