118_エボラ出血熱より沢山の人が「デング熱」で死んでいる

保険に出てくる医療用語

118:エボラ出血熱より沢山の人が「デング熱」で死んでいる

(2014-10-5)

2014年8月、10代の女性が「デング熱」に感染している疑いがあると、さいたま市の病院から情報提供がありました。
全国の医療関係者はその情報に色めき立ちました。
その女性には「海外渡航歴」がなかったからです。
実は「デング熱」は、毎年日本で患者が見つかる、決して珍しくない感染症です。
ここ数年、年間200人前後の患者が確認されています。
ただし、その患者はすべて海外で感染し、帰国後に発症したケース(輸入症例)です。
約70年の間、国内で感染した患者(国内発生)は誰一人いませんでした。
かつて日本では、戦時中に長崎や神戸などの西日本で約20万人が感染し、大流行した例があります。
南方の戦地から帰還した兵士がウイルスを持ち込んだからです。
さいたまの女性は「それ以来」というわけです。
そもそも「デング熱」はデングウイルスに感染した蚊(日本ではヒトスジシマ蚊)に刺されることによって生じる感染症です。
人から人へ直接的に感染することは、輸血でもしない限り、ほぼありません。
一部に重症化する例(デング出血熱)が見られますが、適切な治療をすればほとんどの患者が回復します。
しかし、世界的には年間に5000万人から1億人が感染し、死亡者は2万人以上とWHOでは試算しています。
つまり、今年死亡者数が1000人を超えた「エボラ出血熱」より、遙かに沢山の人が亡くなっていることになります。
今回、日本で感染者が拡大した理由は「地球温暖化の影響」と言われています。
東南アジアを中心にウイルスを媒介する蚊の数が増え、海外渡航者が感染する確率が高くなっています。
日本でも、昔、西日本にしかいなかったヒトスジシマ蚊の生息地が、青森県付近まで北上しているようです。

 保険に出てくる医療用語 目次
­ TOPページヘ
 画面の上へ