避難場所と避難所はどう違うの?

ちょっと雑学

避難場所と避難所はどう違うの?

もし、大きな災害に遭遇したとき、どこに避難すればよいのかご存知ですか?
あなたが避難しようと思っている所は、「避難場所」ですか?それとも「避難所」ですか?
いざというときに慌てないために、自宅や勤務先の近くにある避難場所や避難所と安全な避難経路を確認しておきましょう。

避難場所と避難所の違い

災害時に避難する場所は、大きく分けて次の2種類があります。
「避難場所」と「避難所」です。
「避難場所」と「避難所」は、呼称が似ていることに加え、各自治体によって個別の名称があることなどから混同されていました。
これは、2011(平成23)年3月11日に起きた東日本大震災において、被害拡大の一因ともなったともいわれています。
2013(平成25)年6月に災害対策基本法が改正され、それぞれが明確に定義されるとともに呼称も全国で統一されました。
では、「避難場所」と「避難所」はどう違うのでしょうか。

避難場所とは

「避難場所」とは、災害時の危険を回避するために緊急且つ一時的に避難する場所のことで正式には「指定緊急避難場所」といいます。
避難場所には、災害時の危険を回避するために一時的に避難する「一時避難場所」と、地震などによる火災が延焼拡大して地域全体が危険になったときに避難する「広域避難場所」があります。一般的に屋外の建築物がないスペース(公園や緑地)が指定されていることが多く、基本的には食料や水の備えはありません。

広域避難場所は、関東大震災時の被災を教訓として、火災の輻射熱から身体を守るためにおよそ10ヘクタール以上が必要だとされており、各自治体の地域防災計画に基づいて指定されています。

一時避難場所・広域避難場所ともに、その地域で発生しやすいと考えられる災害(火災・風水害・津波・高潮など)の内容に応じて、自治体により避難場所を変えている場合があります。

避難所とは

「避難所」とは、災害によって避難生活を余儀なくされた場合に、一定期間の避難生活を行う施設のことで、正式には「指定避難所」といいます。
ここでは、飲料水やトイレなどを備えており、具体的には、小中学校や公民館などの公共施設が指定されています。
また、介護の必要な高齢者や障害者など一般の避難所では生活に支障を来す人に対して、ケアが行われるほか、要援護者に配慮したポータブルトイレ、手すりや仮設スロープなどバリアフリー化が図られた「福祉避難所」があります。
「福祉避難所」は、阪神・淡路大震災をきっかけにその必要性が指摘され、全国で事前指定が進められています。
2014(平成26)年10月時点で、指定緊急避難場所は37,181施設、指定避難所:48,014施設(うち福祉避難所:7647施設)が指定されています。

避難場所のない地域があるの?

東京都では、地区の不燃化が進んでおり、万が一火災が発生しても、地区内に大規模な延焼火災の恐れがなく、広域的な避難を要しない区域を「地区内残留地区」として指定しています(平成25年5月現在で34か所、約100km2指定)。
千代田区は全域が地区内残留地区に指定されているため、全広域避難場所の指定は解除されており、また、広域避難場所に避難するために集まる一時集合場所についても、すべて指定が解除されています。

避難経路を確認しよう

避難場所・避難所は地図上で確認するだけでなく、実際に歩いて確認しておきましょう。
また、確認していても、地震や土砂崩れで道路が寸断された場合、避難場所にたどり着くことが困難となります。
自宅から避難場所に向かう経路を2~3コース想定しておいた方がいいでしょう。
避難場所や安全な避難経路の確認ができたら、自宅と避難場所・複数のルート・危険箇所などを記入した家族用の「防災マップ」を作成しましょう。
緊急連絡先や災害用伝言ダイヤルの関連情報などを記入した「防災メモ」も作成しておきましょう。

何のマークかわかりますか?
避難場所

避難場所

避難場所のマークです。
政府は、2020年東京五輪・パラリンピックに向け、災害時の「避難場所」を示す案内図用記号「ピクトグラム」を全国的に統一した上で、国際規格への登録を目指す作業を進めています。災害発生時に安全な「避難所(建物)」を示す画像はこちらです。

避難所

避難所

津波の案内用図記号はこちらです。

津波避難場所

津波避難場所

津波避難ビル

津波避難ビル

よく見かける「非常口」のマークに似ていますね。

非常口

非常口

因みに、非常口のマークは、1979年に消防庁が一般募集し、数年の審議(審査)を経て、1987年にISO 6309「安全標識」(Safety signs)に組み込まれている日本発の国際規格です。

ところで非常口のマークは何故緑色?

何故、火災報知器のように赤色ではないのでしょうか。
炎の赤に対して一番見えやすい色が緑色だからだそうです。
赤と緑は補色の関係ですね。
非常口を示すピクトグラムは消防法施行規則に基づいた消防庁告示「誘導灯及び誘導標識の基準」で定められています。
また、緑色はパニックに陥った時に落ち着かせる効果もあるそうです。
そのため、火災報知機に使われている赤色は遠くから目立ちやすく気づいたらすぐに押しやすいように「赤色」で、一方の非常口は目立ちやすくする必要もあるのですが、赤色は興奮色で逃げ出すときにパニックになってしまう危険があるために「緑色」が使われています。

「備えあれば憂いなし」

大きな災害が発生したときには、自分で自分の身を守る「自助」の考えを持って行動することが大切です。
また同時に地域や身近にいる人たちが助け合う「共助」も、大きな力となります。
災害が発生してからではなく、日頃から地域の活動に目を向けて、積極的に参加しておくことも大切ですね。
耐震改修工事などで、一時的に避難所の利用ができない施設などもあります。
定期的にあなたがお住まいの地区の自治体のホームページなどで確認しておきましょう。
こちらでも避難施設の確認ができます

参考:経済産業省:「JISZ8210 案内用図記号の改正及び JISZ9098 災害避難誘導標識 システムの制定 」

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