自宅の標高をご存じですか?

ちょっと雑学

自宅の標高をご存じですか?

「自宅の標高は何メートルですか?」と聞かれて、標高を直ぐに答えられる人は少ないのではないでしょうか。
津波や水害対策のための基礎情報として、自宅や職場、避難所・避難場所周辺の標高を調べておきましょう。
津波の際に、どこまで逃げる必要があるかなどを事前に確認しましょう。
そして実際に避難する場所まで、どれくらいの距離があり、どのくらいの時間が掛かるかを確認しておくとことが、冷静な避難行動に繋がります。

ところで、高さの表現には「標高」と「海抜」がありますが、どう違うのでしょう。

標高と海抜の違い

日本に土地の測量(地図)での高さは「標高」で表し、東京湾平均海面を基準(標高0m)とした土地の高さです。
「海抜」は、本来は近傍の海からの高さで表しますが、一般には標高と同じように使われています。
東京湾の平均海面を地上に固定するために設置されたのが「日本水準原点」です。

「日本水準原点」は、東京都千代田区永田町1-1 国会前庭北地区内(憲政記念館付近)にあります。
日本水準原点は、経年変化による高さの変動が生じないように、基礎が地下10mまで達しています。
しかし、大正12年(1923年)の関東大震災で大きな地殻変動があり、日本水準原点の標高は24.5000mから24.4140mに変更されました。
その後、東北地方太平洋沖地震に伴い、現在の標高は24.3900mとなっています。

山の高さや、土地の高さ、一般的な地理上の高さを表す場合は「標高」、海の近くで津波や高潮の災害対策に用いられる場合は「海抜」が使われています。

海抜表示シートを見たことがありますか?

国土交通省では、東日本大震災で甚大な被害をもたらした津波被害を踏まえ、平成24年から海抜表示シートを設置し、道路利用者への海抜情報の提供を推進しています。
主要駅周辺や市役所・区役所など公共施設の近く、公園などの市民が集う場所に表示板が設置されています。

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海抜表示シートの例

平成27年3月末時点で、海に面していない8つの県を除く39県で表示を実施しています。
国管理の国道で14,033基、都道府県等管理の国道・都道府県道・市町村道で28,031基が設置済みです。
この他、既に地方公共団体が独自に45,966基を設置しています。

見かけた方も多いのではないでしょうか。

東日本大震災では岩手県大船渡市の綾里湾で局所的に40.1mの遡上高(海岸から内陸へ津波がかけ上がった高さ)が観測されたと、東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループにより報告されています。
気象庁のホームページには、

津波情報の中で発表している「予想される津波の高さ」は、海岸線での値であり、津波予報区における平均的な値です。場所によっては予想された高さよりも高い津波が押し寄せることがあり、その旨を津波情報に記載することでお伝えしています。また、現在の津波予測技術では、「予想される津波の高さ」の予想精度は、1/2~2倍程度です。

なお、「津波の高さ」とは、津波がない場合の潮位(平常潮位)から、津波によって海面が上昇したその高さの差を言います。

さらに、海岸から内陸へ津波がかけ上がる高さを「遡上高(そじょうこう)」と呼んでいますが、「遡上高」は気象庁から発表される「予想される津波の高さ」と同程度から、高い場合には4倍程度までになることが知られています。

と記されています。

これを踏まえ、海に面していない埼玉県でも、平成 24・25 年度埼玉県地震被害想定調査報告書で、津波遡上を被害予測項目に揚げています。
また、同じく海に面していない滋賀県でも住民の不安に応え、琵琶湖での津波を試算しています。
確率は低いものの、湖内最大の離島で唯一の有人島「沖島」の西岸に、4.9メートルの津波が到達する恐れがあることが分かったそうです。

津波の危険性は「海」だけではないのですね。

海抜(標高)を調べる方法

「海抜表示シート」が近くに見当たらない場合は、国土地理院の地理院地図で調べることができます。

測定したい場所を地理院地図の中心【+】に合わせ、地図の下部の矢印をクリックするか、【+】部分を右クリックすると、【+】地点の住所、経緯度、標高等が表示されます。

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国土地理院「地理院地図」

また、国土交通省のサイトでは、日本全国の洪水や高潮などのハザードマップを見ることができます。
国土交通省「重ねるハザードマップ

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その他、Googleマップと米航空宇宙局(NASA)のデータを利用したサービスの「Flood Maps」では、自分の住んでいる場所があと何メートル海面上昇すると水没するのかが分かります。

海面が7メートル上昇したとき

画面左上の「Sea level rise(海面上昇)」で海面がどれだけ上昇するかと設定すると、地図上に浸水する地域が青で示されます。

「Flood Maps」のサイト制作者によると海岸部の防御対策を考慮に入れていないためなどの理由で、場所によって精度が落ちることがあるそうですので、ある程度の目安として利用してみてはいかがでしょうか。

梅雨期・台風期においては、例年、局所的大雨や集中豪雨が観測されています。
平成27年9月関東・東北豪雨、平成26年8月豪雨など多数の人的被害・住宅被害が発生しました。
近年では竜巻による被害も多く報告されています。

忘れた頃にやって来るのが、地震・風水害などの自然災害です。
災害から身を守るために、日頃から防災への意識を高めて、落ち着いて正しく判断し行動できるようにしたいものですね。

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