18歳選挙権と期日前投票

ちょっと雑学

18歳選挙権と期日前投票

参院選が初めての18歳選挙?
公職選挙法が改正され、2016年6月19日の施行以降に 公示 される国政選挙から適用すると定められています。
従って、7月10日投開票の第24回参議院通常選挙が「初めての18歳選挙」と思われている方が多いと思います。
実は、公選法改正後「初めての18歳選挙」は7月3日に行われた福岡県うきは市長選です。
何故かと言いますと、22日に 公示 された参院選以降に 告示 される地方選にも18歳選挙を適用することになっているからです。
うきは市長選は6月26日に 告示 で投開票日が7月3日ですから、7月10日投開票日の参院選よりも一足早い18歳選挙になりました。
滋賀県日野町長選(28日 告示 、7月3日投開票)も選挙戦になった場合、うきは市と同じく、7月10日投開票の参院選に先駆けて初の「18歳選挙」となる予定でしたが、立候補者が現職町長のみで無投票となり、投票の機会がなくなりました。
因みに全国初の18歳選挙となったうきは市長選で新たな選挙権を得た18、19歳の投票率は38.38%でした。
今回の参議院通常選挙では、投票率はどうなるでしょう。
(開票結果が出揃い次第追記いたします)
7月11日、第24回参院選の投票率が選挙区54.70%、比例代表54.69%だったと発表しました。
期日前投票者数が過去最多を更新し、「18歳選挙権」の導入で18、19歳が新たに有権者に加わるなどの要因もありましたが、大幅な押し上げには繋がらなかったようです。(2016-07-11 4:04:23 PM追記)
「公示」と「告示」の違いって?
このところ、参院選の通常選挙や都知事選挙をめぐるニュースが伝えられ、「 公示 」と「 告示 」という言葉を耳にする機会が増えましたが、「 公示 」と「 告示 」の違いをご存知でしょうか?
 公示 」は、[天皇の国事行為](憲法第7条)を伴う選挙、つまり「衆議院の総選挙」と「参議院の通常選挙」の時だけに使われます。
このほかの選挙では、国政選挙の再選挙・補欠選挙、都道府県知事と議員選、市区町村長と議員の選挙でも「 告示 」を使います。
18歳でも投票できない若者たちがいる!
実習生は船員と見なされず
遠洋航海に出る水産高校の実習生が、選挙権があっても投票できない状況になっているのです。
海外で航海をしている船員は、国政選挙の際、「洋上投票」と呼ばれる制度を使って、船の上からファックスで投票ができます。
では、何故実習生は投票できないのでしょうか。
そこに洋上投票制度の「思わぬ落とし穴」がありました。
総務省選挙課によりますと、「実習生は船員と見なされず、洋上投票を利用できない」のだそうです。
選挙権年齢の引き下げが検討されていた段階で、実習生が洋上投票できなくなる事態を想定できなかったのですね。
「法の隙間を理由に投票から除外される実習生が出てくることはおかしい」との意見もあります。
これは総務省選挙課の想定の甘さが招いた「不公平」ではないでしょうか。
もう一つの「不公平」
それは、自治体による「不公平」で投票できないケースです。
住民票を残したまま実家を離れて暮らす学生が選挙人名簿に登録されず、投票できないケースです。
公職選挙法では居住実態がないと名簿登録ができないとされています。
「18歳選挙権」で注目される今回の参院選で、選挙管理委員会の判断が割れています。
不在者投票を勧める選管がある一方、窓口で投票を断ったり、選挙人名簿に登録しなかったりした選管もあります。
総務省選挙課によると、実態の調査も求めているが、「住所を有しているか、有していないのかの判断は各自治体に委ねている」のだそうです。
人口の少ない自治体では以前から詳しく調査する傾向があるようです。
住民票を置く場所で若者が生活しているかを調べている自治体と調査をしない自治体があること自体、不公平ですよね。
実習生の洋上投票とともに国の制度改正が必要ではないでしょうか。
期日前投票の落とし穴
選挙権が与えられたのに期日前投票ができない???
期日前投票制度の創設等を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律は第156回国会で成立し、平成15年6月11日に公布、平成15年12月1日から施行されました。
期日前投票制度は、従来の不在者投票制度のうち「選挙人名簿に登録されている市町村と同じ市町村において有権者が投票する」場合について要件を緩和する形で新しく設けられました。
下記の事由に該当すれば期日前投票を行うことができます。

1号事由 仕事・学業・地域行事の役員・本人または親族の冠婚葬祭など
2号事由 投票区域外に外出・旅行・滞在
3号事由 疾病・負傷・出産・身体障害等のため歩行困難
5号事由 住所移転のため本市以外に居住(転出
期日前投票制度は、投票日前であっても、宣誓書に記入する他は、投票日と同じ方法で投票を行うことができます。
が、ここにも「落とし穴」がありました。
国政選挙では今回の参院選から18、19歳に選挙権が認められました。でも、投開票日の10日に18歳になる新有権者は制度上、現在実施中の期日前投票はできないのです。
何故なら、期日前投票所で1票を投じた時点で有効票になるため、投票した日に18歳以上でなければならないからです。
一方、不在者投票は、選挙期間中に選挙人名簿登録地以外の市区町村にいる有権者が、滞在先の選挙管理委員会で投票するのが通例です。
期日前投票と違い、投開票日まで選管が投票用紙を預かる「未確定投票」で、法律上は誕生日の前日に1歳加算されるため、11日までに18歳の誕生日を迎える人なら、17歳でも不在者投票できます。
総務省は、該当する17歳に例外として選挙人名簿登録地での不在者投票を認めています。
期日前投票に関しても例外を認めて欲しかったですね。
期日前投票と投票率
3日までに期日前投票を行った人は、前回の第23回参議院通常選挙の同じ時期で比べ、1,999,880人多い6,562,239人で、前回第23回参議院通常選挙の1.44倍と好調ですが、期日前投票でのミスも相次いで報告されています。
参議院選挙の期日前投票で、23日に兵庫県西宮市(有権者4人)、1日に群馬県みどり市(有権者60人)、3日に鹿児島県鹿児島市谷山支所(有権者34人)、7日富山県富山市堀川小泉町(有権者1人)などで、投票用紙の配布ミスがあり、せっかくの1票が無効票になる可能性が高いとも報道されています。
また、期日前投票の投票率が好調だからといって、選挙自体の投票率も高くなるわけではありません。
vote
前回の参院選でも期日前投票者数は増加していますが、投票率は52.61%と参院選では過去3番目に低く、期日前投票制度導入後最低の数字です。
「18歳選挙」で選挙への関心は高くはなっているようですが、投票に結びつくかどうかは微妙かもしれませんね。
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