土用って?

ちょっと雑学

「土用の丑の日」の「土用」って?

「土用」は余り物だった
7月になると「土用の丑の日」という文字を見かける機会が増えますが、そもそも「土用」って何でしょうか。
「土用」は、本来「土旺(王)用事」と書いて、この「旺(王)」と「事」が略されたものといわれています。
「土旺用事」は、「土の気が旺(さかん)になり事を用うる」と読み、ここでの「用」は、「はたらき」という意味で、土の気がもっとも働く期間ということになります。
では、その期間は何日間でいつからいつまででしょうか?
季節に五行説をあてはめようとすると、どうしても1つ足りません。
春=木、夏=火、秋=金、冬=水のようにすると、「土」が余ります。
「土」にあたる季節を作るため、各季節から終りの1/5ずつ集めて土用としました。
没日を数えないと1年は360日。各季節は360÷4=90日、土用はその1/5で90÷5=18日。
季節は4つあるので土用は合計18×4=72日、ほかの季節も90-18=72日とすべて等しくなります。
現在では土用の入りは太陽黄経が297°、27°、117°、207°となる日として定義されます。土用の明けは立春・立夏・立秋・立冬の前の日です。

国立天文台 暦計算室:暦Wiki「土用」より引用

「土用」の期間は、立春・立夏・立秋・立冬の前日までの18日間。
つまり、次の季節への移行期間ということです。
昔は季節の変わり目に、邪気が入りやすいと考えられていたため、さまざまな禁忌や風習がありました。
例えば、土用中に土を犯すことは忌むべきこととされていたため、土いじりをしてはいけない、丑の日に大根の種をまいてはいけない、葬送は延期しなければならないなどの禁忌が設けられていました。
これらの禁忌が生まれた背景には「土用中は季節の変わり目であるために、農作業などの大仕事をすると体調が崩れやすい」などの、先人の戒めが込められています。

年4回あるのに…

現在は、立秋前の18日間の夏土用を「土用」ということが多いようです。
「土用の丑の日」のせいでしょうか。
節分も年4回ありますが、「豆まき」など行事の多い立春前の「節分」指す場合が多いですね。

最初の日を「土用入り」、最後の日を「土用明け」といいます。
※入りの日によって18日間でない場合もあります
因みに2016年の夏土用は7月19日~8月6日で、土用の丑の日は7月30日。
2016年は「土用の丑の日」は、1回だけですが、2017年、2018年は2回あります。
「酉の市」で、初酉を「一の酉」、次を「二の酉」、3番目を「三の酉」と言うように、「一の丑」「二の丑」と言います。

 
2016年 2017年 2018年
一の丑 7月30日 7月25日 7月20日
二の丑 8月  6日 8月  1日
土用入 7月19日 7月19日 7月20日
土用明 8月  6日 8月  6日 8月  6日
生活に根ざした言葉

土用のつく言葉に「土用三郎」「土用の虫干し」「土用波」などがあります。

  • 「土用三郎」:夏の土用入りから三日目のことです。この日の天候でその年の豊凶を占い、快晴ならば豊作、降雨ならば凶作。
    彼岸(天一)太郎・八専二郎・土用三郎・寒四郎という豊凶占いの一つ。
  • 「土用の虫干し」:夏土用の時期に、カビや虫の害から守るため、衣類や書物に風を通して陰干すること。書物の場合は曝書とも言います。
  • 「土用波」:夏の土用の頃、海岸に打ち寄せてくる大波のことで台風に伴って発生した「うねり」が伝わってきたもの。
    昔から、夏から秋にかけて太平洋に面した海岸に押し寄せる高い波(うねり)を「土用波」と呼んで高波に対する注意を促していました。
「土用」は、季節の変わり目の大切な期間ということで、その年の豊作凶作を占ったり、土用波と言う台風によって起る強い波に注意を促したり、衣替えの衣服を干したりと生活に根ざした言葉ですね。
そういえば、梅干しも夏土用に晴天の続く日を選んで干しますね。

暑中見舞いを送るのも土用…
暑中見舞いを出すのもこの夏土用の時期といわれています。
他にも「小暑から」や「梅雨明け」からという説がありますが、いずれも「立秋の前日まで」で、立秋を過ぎると残暑見舞いです。

「余り物」の「土用」は、いろいろなことを教えてくれるとても大切な「土用」なのですね。