「大学」は少子化とは無縁なの?

ちょっと雑学

「大学」は少子化とは無縁なの?

なぜ大学生は増えているの?
受験シーズンがやってきました。
2017年の大学入試センター試験の志願者数(確定値)は575,967人で前年より12,199人増加しています。
少子化で公立小学校・中学校・高等学校の児童生徒数はいずれも近年減少傾向にあることはよく知られています。
平成28年度の文部科学省の調査結果では、小・中学校では、過去最低の数値となっています。
高等学校(公立)においても、1989(平成元)年の4,030,091人の最高値を境に減少の一途で2,252,942人となりました。
志願者数が増加しているのですから、「少子化の波」は「大学」にだけは、一見押し寄せてはいないように見えます。
2016年3月の高等学校卒業者数1,062,055人のうち、579,738人が大学・短大へと進み、現役での進学率は54.6%(男子:52.3%・女子57.4%)、過年度の高卒者などを含む進学率は56.8%(男子:56.6%・女子:57.1%)で、男女計ではどちらも過去最高値でした。
女子の四年制大学への過年度の高卒者などを含む進学率は、1954(昭和29)年の2.4%の約20倍の48.2%ですから、脅威的上昇率といえるでしょう。
また、大学の在籍者数は2,873,624人、過去最高の2011(平成23)年の2,893,489人には及ばないものの、前年よりは13,414人増加し、1948(昭和23)年からの69年間で4番目に多い数値です。
大学の数も過去最高の2012(平成24)年の783校(うち私立605)より僅かに6校減り777校(うち私立600)です。
大学生数の増加要因の一つは進学率の上昇にあるようですね。
「2018年問題」を知っていますか?
「2018年問題」とは、2018(平成30)年頃から「18歳人口」が減少期に入り、大学進学者が減っていくことで、大学進学希望者をめぐり、各大学間のさらなる競争激化が予測される問題のことです。
「2018年問題」に入る前に、「18歳人口」についてちょっと説明しておきます。
文部科学省でいうところの「18歳人口」は、総務省の「住民基本台帳に基づく人口」や総務省統計局の「人口推計」の人口ではありません。
毎年実施される「学校基本調査」での「3年前の中学校卒業者数及び中等教育学校前期課程修了者数」です。
※中等教育学校は、1998年(平成11)の学校教育法改正で新設されました。
修業年限は6年で、前期課程(3年間)を修了すると他の高等学校、高等専門学校(高専)などへの入学資格が得られます。
実は押し寄せていた大学への「少子化の波」
先ほど、「大学」は進学率・在籍者数ともに増加していると書きましたが、「短期大学」と「私立大学」では少子化の影響を既に受けています。
「短期大学」の数は少子化に加え、四年制大学志向を受けて、過去最高の1996(平成8)年の598より257校も減り341校とななりました。
過去最高で41校(1989~1991年)もあった「国立短期大学」は、2010(平成22)年に姿を消しました。
当然、在籍者数・進学率ともに激減し、特に女子においては、在籍者数は最高値の486,810
人以降減り続け2016年には113,975人となり、進学率も最高値24.9のおおよそ三分の一の8.9まで下がりました。
「18歳人口」の減少は予想されていたにもかかわらず、四年制の私立大学数は増え続けました。
1998(平成元)年には364校でしたが、2016年には600校となりました。
一方で平成以降の「18歳人口」は、1992(平成4)年の2,049,471人が最高値で、2016(平成28)年は1,190,262人まで減少しました。
つまり、少子化が進み18歳人口が減り続けているのにも関わらず、大学数・在籍者数は進学率の増加に支えられ、辛うじて「少子化の波」に逆らうことができ、大学経営は成り立っていました。
しかし、「私立大学」の中には「定員割れ」という深刻な事態が起きていたのです。
日本私立学校振興・共済事業団の「私立大学・短期大学等入学志願動向」によると、2016(平成28)年度の入学者が入学定員を下回った大学は私大全体の44.5%に上りました。
「定員割れ」の傾向は、1989(平成元)年から1998(平成10)年までは1割未満で推移していましたが、1999(平成11)年に19.8%を超え、2008(平成20)年には47.1%にまで達しました。
三大都市圏(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫)の入学定員充足率は106.44%、それ以外の「その他の地域」は97.79%となっており、大都市部と地方の間にかなり差があることがわかります。
大規模大学・大都市部など大学への入学者が増える一方で、小規模大学・地方大学には学生が集まらないというのが現状です。
「18歳人口」は、2031年には100万にを割ると推測されています。
「大学・短期大学数  進学率 中学・高校卒業者数 大学在籍者数などの推移」はこちら
「私立大学・短期大学等入学志願動向」はこちらへ (日本私立学校振興・共済事業団HP)
SGU創成支援って?
そんな中、2014年(平成26年)に文部科学省が国公私立大学を通じた大学教育再生の戦略的推進のためのスーパーグローバル大学等事業の一環として「スーパーグローバル大学創成支援」なるものを創設しました。
トップ型 (世界大学ランキングのトップ100を狙う実力がある、世界レベルの研究を行う大学)とグローバル化牽引型(これまでの実績を基に、新たな取り組みに挑戦し、日本のグローバル化を牽引する大学)の2種類のタイプの大学を公募し、「トップ型」に13校、「グローバル化牽引型」に 24校の計37校を指定しました。
指定37校のうち、国立21校・公立2校・私立14校。
大学の都道府県(本部所在地)でみると、圧倒的に東京都が15校と多く、複数指定されたのは京都府が3校、新潟県2校、愛知県の2校。
スーパーグローバル大学創生支援について詳しくはこちら (文部科学省のHP)
「大学の国際競争力を高めるために重点的に財政支援する」とのことですが、新たな「大学格差」招く可能性があるのではという声も漏れ聞こえます。
地方に人は流れる時代は来るのだろうか…
地方からの人口流出が顕著に現れるのは、「大学等進学時」と「大学等卒業後の最初の就職時」という2つの時点です。
2016年(平成28)年4月における、大学進学者数618,423人のうち東京都へのは149,860人。
約24%が東京都の大学へ進学しています。
因みに、2015年(平成27)年の東京都の転入超過数は81,696人で、4年連続の増加しています。
「地方創生」の一環として、文部科学省は、2016(平成28)年度から段階的に、入学定員超過率に応じて私学助成の交付基準を厳格化することにより、大都市部の大規模大学の入学者数を抑制し、地方の私立大学への入学者を増やそうとしています。
「定員割れ」大学があるのですから、選り好みをしなければ受験生全員が大学に入れる「大学全入時代」とも言われています。
受験生にとって今や、大学は「狭き門」ではなくなり、大卒=エリートの時代は終わりました。
2018年以降、受験生の更なる減少で授業料収入などの落ち込みが予想され、大学関係者の危機感を募らせ、それぞれに対策は練っているようです。
国立大学も安閑としていられない時代です。
「大学が減っても、少子化で受験生自体が減るから、なんとかなる」と考えている方も多いかもしれませんが、大学の淘汰が始まったこれからは「大学」へ進む意義を考えることが必要なのではないでしょうか。
ちょっと豆知識
私立大学のない都道府県は?
答えはこちら