大学の志願者数ランキングは意味があるの?

ちょっと雑学

大学の志願者数ランキングって意味があるの?

1万人台に乗せたあの大学って???

文部科学省が2月15日に「平成29年度国公立大学入学者選抜確定志願状況」発表し、私立大学志願状況も大勢が判明してきました。
そんな中ちょっと気になる新聞(Web刊)の「見出し」を発見しました。
「最新・国公立大志願者数ランキング 暫定トップは東大でもなく京大でもなく、1万人台に乗せたあの大学…」
「私大志願者ランキング 早稲田でもなく日大でもなく、トップ独走の近大に肉薄するのは『女性総長』のあの大学…」
この見出しで、「いったいどこの大学?」と思われた方が殆どでしょう。
でも、「志願者数」でランキングって、ちょっとおかしいと感じませんか?
何故なら、個々の大学で定員(募集人員)が違うのに単に志願者数を比較しても受験生にはあまり意味がないのではないでしょうか。
あっ、その前に、「あの大学」がどこの大学だったか気になりますよね?(笑)
それは、「千葉大学」と「法政大学」です。

大学名 募集人員 志願者数 倍率
千葉大学 2,147人 11,718人 5.46倍
東京大学 2,960人 9,534人 3.22倍
京都大学 2,678人 8,362人 3.12倍

確かに1万人台に乗せてもいますし、倍率も上回ってはいますが、これは全ての学部を合わせての倍率ですから、単純に比較はできません。
しかも1万人台に乗せたのは、今回が初めてではありません。
その上、ここでいう倍率は「志願倍率」といい、「実質倍率」ではないのです。
志願者数10万人超えで競っている私立大学は、近畿大学・法政大学・早稲田大学・明治大学・日本大学です。

大学名 一般入試 センター入試 合計
近畿大学 118,874人 23,873人 142,747人
法政大学 80,701人 38,505人 119,206人
早稲田大学 98,165人 16,818人 114,983人
明治大学 80,441人 32,466人 112,907人
日本大学 78,113人 32,927人 111,040人

国公立大学入学者選抜確定志願状況はこちら 

実質倍率って???
「志願倍率」が募集人員に対する志願者数であるのに対し、「実質倍率」は受験者数に対する合格者数です。
「志願倍率」は、受験前、自分の出願校にどのくらいの志願者がいるのかおおよその指標になります。
しかし、国公立大学の後期日程では前期日程で合格した受験生が受験しない、また私立大学では募集人員以上に合格者を出すため、実際の入試状況を反映してるわけではありません。
特に私立大学の場合は、定員の5倍以上の合格者数の大学もあり、一般的に「志願倍率」の方が「実質倍率」より高くなります。
実際の競争率を把握するには「実質倍率」です。
しかし、入試終了後でないと判明しません。受験生は、次年度の「志願倍率」に今年度の「実質倍率」などを参考にして指標とすることになります。
千葉大学の今年度の「志願倍率」と「実質倍率」を見てみましょう。

千葉大学 志願倍率 実質倍率
平成28年度 5.29倍 3.56倍

このように、「志願倍率」より「実質倍率」は低くなります。
他の大学に合格したため受験しない、体調不良で受験しないという人も出るため、志願者数よりも当日の受験者数は若干減少します。
これが私立大学となるとその差はもっと大きくなります。
私立大学の場合は受験生がいくつかの大学を掛け持ちで受けることも多く、合格者すべてが入学するとは限らず、大学側もそれを見越してかなり水増しして合格者数を決めているからです。
つまり、「合格者数=募集人員」ではないからです。

実は意味がある「志願者数」
先ほど、受験生にはあまり意味がいないと書いた「志願者数」ですが、大学にとっては大きな意味があります。
それは「入学検定料」です。
志願者数が10万人の場合、仮に入学検定料が35,000円だとすれば、35億円の「入学検定料収入」になります。
志願者数が10万人を超える私立大学の収支決算書を見てみると、「入学金収入」より10億円以上多くなっている大学もあります。
日本の大学生の約75%が、私立で学んでいます。
受験シーズンには、各大学の志願者数ランキングをメディアで見かける機会が増えます。
「志願者数」は大学の人気や勢いを示すバロメーターの一つでもあります。
また一般的な私立大学の場合、総収入の8~9割近くを入学検定料や入学金を含めた学費に依存しています。
「入学検定料収入」に影響を与える「志願者数」は大学経営を大きく左右するのです。
とは言え、「入学検定料」は、複数の大学を受験するお子さんがいる家庭にとっては頭の痛い出費ですよね…^^;
ちょっと豆知識
「MARCH大学」って?
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