「道の駅」はなぜ増えるのか

ちょっと雑学

「道の駅」はなぜ増えるのか

全国に幾つ「道の駅」があるかご存知ですか?
国土交通省によると「道の駅」は年々増加し、その数は2016年10月7日現在、全国で1107か所。
なぜ「道の駅」はこんなに増えたのでしょう。
道の駅の始まりは?
道の駅の発案のもとは1990年1月に広島で行われた「中国・地域づくり交流会」での山口県阿東町にある船方牧場の坂本社長の「鉄道に駅があるように、道路に駅があってもよいではないか」発言から始まったと言われています。
「駅」とは、今でこそ「鉄道の駅」を指しますが、「駅」という漢字は、馬篇が示すように「宿場ごとに用意して、旅人の用に応ずる馬」・「旅人の宿泊地・馬継ぎ場」という意味があります。
汽車や電車のなかった時代の「駅」は、それこそ「道の駅」だったのですよね。
余談ですが、「駅」は新字体で、元々は「驛」と書いていました(旧字体)。
漢字の成り立ちの解釈は諸説あります。
その一つは「睪」は音符で、「次々に手繰り寄せる」という意味、もう一つは「睪」は刑具の会意文字で、「罪人を次々と連ねて面通しする」という意味。
どちらの解釈も「次々」は共通していますね。
話を漢字から「道の駅」に戻しましょう^^;
あなたのお住いの市町村にも道の駅がありますか?
現在の「道の駅」制度を制定するにあたり、1991年10月(~翌年4月)に山口県(阿武町、田万川 町)、岐阜県(古川町、国府町、羽生川村、久々野町、下呂町、加子母村、付知町)、栃木県(河内町、上三川町、南河内町)の12か所で「道の駅」の社会実験が行なわれました。
「道の駅」は1993年2月に登録制度が創設され、1993年4月22日付で103駅が第1回登録されました。
それが現在1107駅ですから、当初の10.7倍、平均すれば毎年40か所前後増えていることになりますね。
「道の駅」への登録は毎年春と秋の2回実施されていて、近年では、毎回20か所前後が登録されています。
また、総務省によると平成26年4月現在全国の市町村数は1,718ですから、概ね3市町村に2か所は道の駅が存在する計算になります。
「道の駅」の目的は?
地元の新鮮野菜や鮮魚、特産品などが手軽に買えることや、温泉施設を併設して観光スポットとしても人気の「道の駅」ですが、そもそもの目的は、一般道におけるドライバーの休憩場所を確保することでした。
現在、「道の駅」は、道路利用者のための「休憩機能」、道路利用者や地域の方々のための「情報発信機能」、そして「道の駅」をきっかけに町と町とが手を結び活力ある地域づくりを共に行うための「地域の連携機能」の3つの機能を併せ持つ休憩施設整備されています。
国土交通省が求める登録要件は、「利用者が無料で24時間利用できる十分な駐車場、清潔なトイレ」「情報発信機能」「地域連携機能」。
「トイレと駐車場以外は設置者の自治体にお任せするので、地域活性化に向けてそれぞれ趣向を凝らしてください」というのが当初からの国の方針です。
登録要件自体がさほどハードルが高くないことも「道の駅」が増える要因の一つでもりますね。
車も走れば「道の駅」にあたる時代…
「道の駅」の登録制度が始まった1993年は、バブル崩壊で日本経済が長い低迷期に突入し、少子高齢化・人口流出が始まり、農業の後継者難が表面化した頃です。
「道の駅」は「地域振興・地方創生」の拠点としてその存在感を増してきました。
そして、旅行の「安近短」ブームも追い風になり、登録数は増加したと思われます。
1107駅の全てが黒字ではありませんが、これまでに登録を抹消された「道の駅」は兵庫県宍粟市「道の駅 山崎」と京都府相楽郡の「道の駅 茶処和束」2駅だけです。
しかしながら、このまま増加し続けるとどうなるのでしょう。
創意工夫のない「道の駅」は廃駅となる可能性も出てくるでしょう。
また、若年層のUターンや移住が見込めず、高齢化が進むと、魅力があり人気の「道の駅」も存続が難しくなってくるのではないでしょうか。
これからの道の駅
制度創設当初、道の駅に「防災」の視点はありませんでしたが、2004年の新潟県中越地震では、多くの被災者が道の駅に駆け込みました。
2011年の東日本大震災でも「『道の駅』に行けばなんとかなる!」と、多くの人が食料や情報を求め「道の駅」に避難しました。
さまざまな災害を通じて各駅が仮設トイレや備蓄倉庫などを取り入れ始めていて、防災機能を兼ね備えた「道の駅」が増えています。
他にも、「買い物困難者への宅配サービス提供・コミュニティ―バス運行」や「消防署、医療センター等との連携」などといったそれぞれの地域で様々な取組が始まっています。
国土交通省では、最近問題となっているトラックドライバー不足・再配達削減のために埼玉県春日部市「道の駅 庄和」に再配達用宅配ロッカーを設置し、地方部での再配達削減のスキームとしての可能性を検証する社会実験を開始しています。
(実験期間:2016年10月24日(月)~2018年3月末 予定)
「賢い料金」?
我が国の高速道路においては、休憩施設同士の間隔が概ね25km以上離れている空白区間が約100区間存在しています。
2017年2月7日の国土交通省の報道発表によると、高速道路ネットワークを賢く使う取組の一環として、休憩施設の不足に対応し、良好な運転環境を実現するため、全国3か所の道の駅において、高速道路からの一時退出を可能とする「賢い料金」の試行を行うこととしました。

実施箇所
  • 道の駅玉村宿(群馬県佐波さわ郡)
  • 道の駅もっくる新城(愛知県新城市)
  • 道の駅ソレーネ周南(山口県周南市)
今回はPA・SAの間隔が長い3か所での試行されます。
「ETC2.0搭載車を対象に、高速道路を降りて道の駅に立ち寄り後、一定の時間内に再進入した場合、高速道路を降りずに利用した料金のままとする」とのこと。
「一定の時間内」というのが何時間になるのでしょうね。
一般道での「1時間」の走行距離は、30~40kmくらいでしょうか。
渋滞を考慮するともっと短くなりますよね。
今後は空白区間の半減を目指し、対象の「道の駅」を追加する方針のようです。
「道の駅」としては、対象に選ばれたものの「トイレ休憩」のみの利用者が増えたのではあまり嬉しくない「賢い料金」制度と言えるかもしれません^^;
いずれにせよ今後も「道の駅」ブームは続きそうですね。

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