渋滞損失時間

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渋滞損失時間

「渋滞」って?
そもそも渋滞とは、物事がスムーズに進まず、仕事(人・物)がつかえることです。
一般的に、「渋滞」を最もよく使うのは道路交通においてですね。
では、「交通渋滞」とはどういう時をいうのでしょうか。
国土交通省によると、「渋滞とは、走行している車両が異常に集中し、徐行あるいは停止・発進を繰り返す長い車列が続いている状態」。
一般道では、渋滞長が1km以上又は通過時間が10分以上(都市部)、渋滞長が500m以上又は通過時間が5分以上(郊外部)。
また高速道路(NEXCO中日本/東日本/西日本)における渋滞は、時速40km以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、1km以上かつ15分以上継続した状態。
渋滞長とは渋滞状態の車列の長さをいい、渋滞時間とは渋滞状態が継続した時間をいいます。
渋滞の激しさを表わすのが「渋滞量」
「渋滞量」は「渋滞している距離」✕「渋滞している時間」で求めます。
「渋滞量」の求め方は簡単ですが、「渋滞量」は、「渋滞中の速度」・「渋滞に巻き込まれた台数」を考えていないという弱点があります。
そこでこの弱点を考慮した指標が「渋滞損失時間」です。
「渋滞損失時間」とは?
「渋滞損失時間」とは、わかりやすく言うと「渋滞によって、ある基準の時間よりも遅れた時間の合計」のことで、{(実際に掛かった所要時間)-(時速○○kmで走った場合の所要時間)}×交通量となります。
「渋滞損失時間」は、渋滞中の速度や交通量を考えているので、どれぐらいの人が渋滞によって困ったのかを正しく表わすことができる一方で「1台・時ってどれぐらいひどい渋滞なのか?」という事がイメージしにくいという欠点があります。
「渋滞量」も「渋滞損失時間」のどちらも一長一短があるということになりますね。
「渋滞量」や「渋滞損失時間」は、ある期間・ある路線の渋滞の激しさを表わす指標ですから、ある期間と別の期間の渋滞の激しさを比較したり、ある場所と別の場所の渋滞の激しさを比較することができます。
実際には国土交通省や各高速道路会社などで公表している交通状況で、渋滞損失時間のランキングを見ることができます。
渋滞ランキングの詳細はこちら 国土交通省「高速道路の交通状況」
年間12兆円の損失!
全国で年間約50億時間、一人当たりにすると年間約41時間位所が渋滞によって失われているそうです。
損失時間を平均的な賃金ベースから金額に換算すると、全国では年間約12兆円、一人当たりでは年間約10万円が失われていることになります。
限られた貴重な時間を「渋滞」で無駄にしたくないものです。
春の大型連休が近づいてまいりました。
最近ではカーナビがなくてもスマートフォンのアプリで渋滞を避けることもできます。
目的地までの所要時間も渋滞を考慮したり、目的地までの行程に新たな観光スポットなどが出来ていないかなど、下調べをしっかりとして、無理のないドライブ旅行を心掛けることが大切ですね。
土日祝がお休みの方は、5月1日・2日に有給休暇を取れば9連休になりますね。

2017年春の大型連休
日付 曜日 国民の祝日
4月29日 昭和の日
4月30日
5月1日
5月2日
5月3日 憲法記念日
5月4日 みどりの日
5月5日 こどもの日
5月6日
5月7日
因みに「渋滞」の「渋」という漢字の正字(本字)は「澀」。
「澀」が「澁」となり、1945年まで使われていた標準的な字体です。
「当用漢字字体表」で「渋」が新字体と定められ現在に至ります。

———-参考———-

渋滞損失時間・額算出方法
渋滞損失時間・渋滞損失額は、全国の道路の交通量を調査する「道路交通センサス」のデータを基に算出します。
道路交通センサスの正式名称は「全国道路・街路交通情勢調査」。
日本全国の道路と道路交通の実態を把握し、道路の計画や、建設、管理などについての基礎資料を得ることを目的として、全国的に実施している統計調査です。

算出の手順
  1. 各調査区間について、現況と渋滞がない場合の通過時間の差を求める。
  2. 1台あたり平均約1.3人乗車しているいるので、通過時間の差の合計に1.3をかけて、渋滞損失時間を求める。
  3. 渋滞損失時間に時間価値をかけて、渋滞損失額を求める。

渋滞損失額の計算に用いる「1時間の価値」は、わが国の平均的な就業者の1時間当たりの賃金を基準とし、具体的には、就業者の平均的な給与を総実労働時間で除したものを基準としており、1時間当たり約2,300円。