「家計調査」って?

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「家計調査」って?

家計調査って?
総務省統計局が、2017(平成29)年5月16日に発表した「家計調査」の二人以上世帯の貯蓄現在高の平均値は、1,820万円というまたまた驚愕の貯蓄現在高となりました。
2016年家計調査「年収・貯蓄・負債・持ち家率」一覧はこちら
ところで、「家計調査」ってどんな調査かご存じですか?
家計調査は、国民生活における家計収支の実態を把握して、景気動向の重要な要素である個人消費の動向など、国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を提供するため、総務省統計局が毎月実施している統計調査で、4種類(家計簿・年間収入調査票・貯蓄等調査票・世帯票)の調査票により調査します。
調査対象世帯数は何世帯?
「家計調査」の調査対象世帯数は、全国168市町村が対象で二人以上世帯は約8,000世帯です。
2015(平成27)年の国勢調査によると総世帯5,340万世帯のうち二人以上世帯は約3,490万世帯ですから、対象世帯は総世帯の0.023%しかありません。
調査対象世帯の選定方法は層化三段抽出法についてはこちら
約8,000世帯(二人以上の世帯)の標本の地域(168層)別配分方法はこちら
調査世帯が交替する?
しかも、1年間同じ世帯が答えるのではなく、二人以上の調査世帯の場合は6か月間継続して調査し、毎月6分の1の世帯が交替するのです。
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家計簿記入開始後2か月目の1期分*の家計簿を回収する際に「貯蓄等調査票」が配布され、3か月目の1日現在の「貯蓄」及び「負債」の保有状況を貯蓄等調査票に記入、調査開始後3か月目の1期分*の家計簿を調査員が回収する際に、調査世帯が封筒に入れて密封し、調査員に提出します。
調査開始後3か月目の1日現在の「貯蓄」及び「負債」を保有しているとみなして集計されます。
うーん、少ない標本数でしかも毎月6分の1の世帯が交替して、実態に近い貯蓄高となるのかなあと思ってしまいませんか?
*毎月の家計簿の記入は、1日から15日までを1期分として、16日から月末までを2期分として,それぞれ家計簿冊子を分けて記入
「貯蓄」って?
家計調査の「貯蓄」には、金融機関への預貯金だけでなく、株式、債券、投資信託、金銭信託等の有価証券並びに生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額) に、金融機関外(社内預金や勤め先の共済組合などへの)貯蓄も含まれています。
また、「個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含める」とありますから、二人以上世帯の貯蓄高が1,820万円となるのもなんとなく納得というところでしょうか。
高齢者世帯が多いんです…
日本は超高齢化が進んでいますから高齢者世帯が多いのは当たり前ですが、特に家計調査の世帯主の年齢階級分布は高齢者に偏っていると言われています。
某生命保険会社の20~79歳の既婚男女(有効回答者数1,618人)を対象にしたインターネットによる「家計」に関するアンケート調査では、貯蓄額「0」円と回答した人が18.8%で、平均貯蓄額は1,274万円でした。
家計調査での貯蓄が「0」の世帯は3.7%、生命保険会社のアンケート調査の五分の一です。
この調査では対象者の地域は不明ですが、各年代・性別ごとの人数がほぼ同数となるように調整されています。
家計調査でも年齢階級ごとの世帯数を同数として計算すれば貯蓄現在高は約1,400万円となります。
家計調査の貯蓄・負債編での分布は2015年の国勢調査より高齢者層が多い。
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家計調査の二人以上世帯70歳以上(28.3%)の貯蓄現在高の平均値は2,446万円ですから、自ずと平均値は上がりますよね。
その他にも就業構造基本調査結果と比べると、「共働き世帯の割合が過少」「公務員世帯の割合が多い」といった指摘があります。
調査世帯への謝礼は?
家計調査に協力することが決まると、調査員の方によって家計簿とその記入のための電卓・デジタルはかり・筆記用具などが届けられます。
現在はデジタルはかりですが、平成22年までは上皿天秤はかり(2kg)でした。
上皿天秤はかりは嵩張って、届けるのが大変そうです。
これらの備品毎年購入されており、返還する必要はないようです。
因みに28年の電卓支出額は14,304,848円(購入数19,769台)、デジタルはかり支出額10,361,717円(購入数16,017台)
毎年はかりと電卓の支出額もバカにならないと思いますが…。
調査対象世帯に選ばれた方は、半月に1度手書きの家計簿を提出しなければなりません。
調査対象に渡されるもの(お礼など)の1対象当たりの基準額は二人以上世帯の場合で12,600円。
1か月ではなく、6か月で12,600円です^^;
6か月間、毎日家計簿を記入するという労力に対して、12,600円は如何なものでしょうか。
しかも、現金ではなく、お米だったり、お素麺だったり、商品券だったり、自治体でマチマチのようです。
調査員の仕事って?
調査員は、調査が実施される度に、その調査期間中のみ任用される非常勤の公務員(都道府県知事が特別職の地方公務員として任命)で、市町村の統計調査員名簿に登録している人の中から選ばれます。
調査員を希望する人は市町村に申請をし、下記の要件を満たしていればこの名簿に登録されます。

  • 調査票の配布及び回収、関係書類の作成等の事務を適正に行うことができる者であること
  • 原則として20歳以上の者であること
  • 秘密の保護に関して信頼のおける者であること
  • 選挙に直接関係のない者であること
  • 税務・警察に直接関係のない者であること
具体的な仕事内容は、調査対象である世帯や事業所などに、 調査票を配布し、調査票に正しく記入してもらうために、統計調査の趣旨や内容などについて説明を行い、 記入された調査票の回収、その点検・整理などです。
調査員一人一人に支払われる額(報酬など)の基準は以下の通りです。

  • 調査員一人当たりの一年間の支払額
  • 東京・神奈川以外の場合 @6,980×152日=1,061千円
  • 東京都の場合 (@7,030×76日)+(@7,180×76日)=1,080千円
  • 神奈川県の場合(@7,020×76日)+(@7,160×76日)=1,078千円
昨今は、「調査票に記入したことが外に漏れないか、心配」「記入内容が煩雑過ぎる」などという理由からなかなか直ぐに協力してもらえない世帯が多いようです。
まあ、「もらい物についても相場(市価)を調べて金額を記入」となりますとあまり協力したいとは思いませんよね^^;
それに加え、共働き世帯は昼間留守がちですから、回収が夜間になるケースも多く、調査員の仕事も大変そうです。

負担の軽減のために…
総務省統計局では家計調査へのICTの活用を検討しているようです。

  • オンライン調査システムによる調査世帯向けシステムの機能案
  • スマートフォンを用いたレシート読取り
  • スマートフォン、パソコン等による入力、相互参照
  • 過去の回答内容の表示・検索
  • インセンティブ(家計診断、データ還元)
全ての調査協力者がパソコンやスマートフォンを使えるわけではありませんが、記入者・調査員の負担軽減、家計調査の精度向上に繋がればいいですね。
国勢調査のオンライン化費用は20億円、家計調査の世帯数は少なくても毎日の支出を仕分けしながら入力させるとなるといくら掛かるのでしょうね~。

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