家庭内事故は交通事故の2.5倍!
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家庭内事故は交通事故の2.5倍!
不慮の事故とは?
「交通事故」は死因分類上「不慮の事故」に含まれます。
「不慮」とは、「思いがけないこと」という意味で、「不慮の事故」とは、予測不可能で主に外的要因で急に起こった事故ということになります。
厚生労働省の人口動態統計によると、2015年の死亡数1,290,444人のうち「不慮の事故」による死亡数は38,306人(死亡総数の約3%)で、そのうち「交通事故」の死亡数は5,646人で「不慮の事故」の15%弱(死亡総数の約0.4%)です。
交通事故以外の「不慮の事故」は…
死亡数が最も多いのは、「その他の不慮の窒息」で9,356人、次いで「転倒・転落」7,992人、「不慮の溺死・溺水」7,484人です。
3桁コード | 不慮の事故種類 | 死亡数 |
---|---|---|
V01-V98 | 交通事故 | 5,646人 |
W00-W17 | 転倒・転落 | 7,992人 |
W20-W49 | 生物によらない機械的な力への曝露 | 490人 |
W50-W64 | 生物による機械的な力への曝露 | 6人 |
W65-W74 | 不慮の溺死及び溺水 | 7,484人 |
W75-W84 | その他の不慮の窒息 | 9,356人 |
W85-W99 | 電流,放射線並びに極端な気温及び気圧への曝露 | 44人 |
X00-X09 | 煙,火及び火炎への曝露 | 940人 |
X10-X19 | 熱及び高温物質との接触 | 96人 |
X20-X29 | 有毒動植物との接触 | 29人 |
X30-X39 | 自然の力への曝露 | 1,970人 |
X40-X49 | 有害物質による不慮の中毒及び有害物質への曝露 | 612人 |
X50-X57 | 無理ながんばり,旅行及び欠乏状態 | 22人 |
X58-X59 | その他及び詳細不明の要因への不慮の曝露 | 3,619人 |
W00-X59 | 交通事故以外の不慮の事故 | 32,660人 |
V01-X59 | 不慮の事故死亡総数 | 38,306人 |
その他の不慮の窒息
「その他の不慮の窒息」で最も死亡数が多いのは「気道閉塞を生じた食物の誤えん(W79)」で4,686人、「胃内容物の誤えん(W78)」1,533人、「気道閉塞を生じたその他の物体の誤えん(W80)」739人と合わせると、「誤嚥」による死亡数は6,958人となります。
また、80歳以上が4,343人と6割以上を占めています。
3桁コード | その他の不慮の窒息 | 80歳以上 | 総数 |
---|---|---|---|
W78 | 胃内容物の誤えん | 983人 | 1,533人 |
W79 | 気道閉塞を生じた食物の誤えん | 2,900人 | 4,686人 |
W80 | 気道閉塞を生じたその他の物体の誤えん | 460人 | 739人 |
合計 | 4,343人 | 6,958人 |
転倒・転落
「転倒・転落」では「スリップ,つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒(W01)」が5,636人と最も多く、80歳以上が4,331人で76.8%を占めます。
フラットな面での転倒は「階段及びステップからの転落及びその上での転倒(W10)」による死亡数694人の8倍です。
80歳以上の「階段及びステップからの転落及びその上での転倒(W10)」による死亡数は278人で4割を占めています。
3桁コード | 転倒・転落 | 80歳以上 | 総数 |
---|---|---|---|
W01 | スリップ,つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒 | 4,331人 | 5,636人 |
W10 | 階段及びステップからの転落及びその上での転倒 | 278人 | 694人 |
階段での転倒より、同一面での転倒事故が多い理由は、高齢者の場合、足腰が弱り階段自体の昇り降りを控えているからでしょうか。
また、階段は日頃から「転ばないように」と気をつけて昇り降りするせいでしょうか。
リフォームしてバリアフリーにしたからと言っても安心できませんね^^;
不慮の溺死及び溺水
「不慮の溺死及び溺水」では「浴槽内での溺死及び溺水」が5,263人最も多く、浴槽への転落による溺死及び溺水30人と合わせると、70.7%を占め、水泳プール・自然水域の死亡数の5.45倍です。
また、80歳以上の「浴槽内での溺死及び溺水」は2,736人で半数を超えています。
3桁コード | 不慮の溺死及び溺水 | 80歳以上 | 総数 |
---|---|---|---|
W65 | 浴槽内での溺死及び溺水 | 2,736人 | 5,263人 |
W66 | 浴槽への転落による溺死及び溺水 | 16人 | 30人 |
W67 | 水泳プール内での溺死及び溺水 | 1人 | 6人 |
W68 | 水泳プールへの転落による溺死及び溺水 | 0人 | 0人 |
W69 | 自然の水域内での溺死及び溺水 | 124人 | 784人 |
W70 | 自然の水域への転落による溺死及び溺水 | 40人 | 181人 |
W73 | その他の明示された溺死及び溺水 | 142人 | 359人 |
W74 | 詳細不明の溺死及び溺水 | 418人 | 861人 |
W65-W74 | 合計 | 3,477人 | 7,484人 |
因みに、「溺水」とは気道内に液体が入り、気道が閉塞することによる窒息の一種。
「溺水」による死亡のことを「溺死」と呼びます。
「溺水」は浸水による窒息後24時間以上生存することを指し、24時間以内に死亡した場合は「溺死」。
交通事故より恐いのは家庭内事故?
「溺水・溺死」と聞くと、ついつい海や川、プールなどでの水難事故を思い浮かべますが、浴槽内が最も多いように、実は「交通事故」以外の「不慮の事故」において、最も多い発生場所は「家(庭)」で、13,952人(42.7%)の方が亡くなっています。
家庭内事故の発生場所
発生場所 | 死亡数 | 割合 |
---|---|---|
家(庭) | 13,952人 | 42.7% |
居住施設 | 2,031人 | 6.2% |
学校、施設及び公共の地域 | 1,133人 | 3.5% |
スポーツ施設及び競技施設 | 37人 | 0.1% |
街路及びハイウェイ | 680人 | 2.1% |
商業及びサービス施設 | 845人 | 2.6% |
工業用地域及び建築現場 | 430人 | 1.3% |
農場 | 265人 | 0.8% |
その他の明示された場所 | 2,478人 | 7.6% |
詳細不明の場所 | 10,809人 | 33.1% |
交通事故以外の不慮の事故死亡数 | 32,660人 | 100% |
また、「不慮の溺死及び溺水」事故死(7,484人)の68.9%は家庭内での死亡となっています
外因別家庭内事故と不慮の事故
3桁コード | 不慮の事故種類 | 家庭内事故 | 不慮の事故 |
---|---|---|---|
W00-W17 | 転倒・転落 | 2,634人 | 7,992人 |
W20-W49 | 生物によらない機械的な力への曝露 | 77人 | 490人 |
W50-W64 | 生物による機械的な力への曝露 | 0人 | 6人 |
W65-W74 | 不慮の溺死及び溺水 | 5,160人 | 7,484人 |
W75-W84 | その他の不慮の窒息 | 3,838人 | 9,356人 |
W85-W99 | 電流,放射線並びに極端な気温及び気圧への曝露 | 9人 | 44人 |
X00-X09 | 煙,火及び火炎への曝露 | 828人 | 940人 |
X10-X19 | 熱及び高温物質との接触 | 81人 | 96人 |
X20-X29 | 有毒動植物との接触 | 9人 | 29人 |
X30-X39 | 自然の力への曝露 | 849人 | 1,970人 |
X40-X49 | 有害物質による不慮の中毒及び有害物質への曝露 | 374人 | 612人 |
X50-X57 | 無理ながんばり,旅行及び欠乏状態 | 12人 | 22人 |
X58-X59 | その他及び詳細不明の要因への不慮の曝露 | 81人 | 3,619人 |
V01-V98 | 交通事故 | 0人 | 5,646人 |
V01-X59 | 合計 | 13,952人 | 38,306人 |
家庭内での不慮の事故は防げる?
転倒防止のためにはバリアフリー化することが最も有効な策だとは思いますが、リフォームをしたのに電源コードに躓いて転倒し骨折ということもあります。
高齢者の場合、自分では電源コードを跨いで超えたと思っていても、脚が思う程上がっていないことも多いです。
床や階段など歩く場所に躓きそうな物を置かないように心掛け、すべりやすい靴下やスリッパは履かないことも転倒防止に繋がります。
- 食品を食べやすい大きさに切る。
- 一口の量は無理なく食べられる量に。
- 急いでのみ込まず、ゆっくりとよく噛み砕いてからのみ込む。
- 食事の際は、お茶や水などを飲んでのどを湿らせる。
予防策としては…、
- 入浴中の事故を防ぐには、寒い季節は入浴前に脱衣所や浴室を暖め、湯温は41℃以下で湯につかる時間は10分程度にし、浴槽から急に立ち上がらない。
- また、高齢者に限らず、食後直ぐの入浴は避け、飲酒後はアルコールが抜けるまでは入浴しない。
- 同居者がいる場合は、入浴前に一声掛ける。
高齢者、特に認知症の場合は、「昨日まではできていたのに今日はできなくなった」ことで起こる事故があります。
乳幼児や高齢者のいる家庭では特に、日頃から事故にあわないよう周囲の配慮、安全対策をしておくが必要ですね。