内閣支持率、なぜ報道各社で違うの?

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内閣支持率、なぜ報道各社で違うの?

支持率の差の要因は何?

報道各社の8月の世論調査結果をみると、傾向は同じようですが、内閣の支持率の水準は報道機関によって異なっています。

新聞社・放送局 支持する 支持しない
A新聞社 35.0% 45.0%
B新聞社 35.0% 47.0%
C新聞社 42.0% 49.0%
D放送局 39.0% 43.0%
E放送局 39.7% 59.0%
F放送局 37.6% 47.2%

「支持する」が最も高いC新聞社と最も低いA、B新聞社とでは7ポイント、「支持しない」が最も高いE放送局と最も低いD放送局では16ポイントも違います。
いったいこの差はどこから生じるのでしょう。

世論調査の調査方法って?
ところで、報道各社の世論調査の方法をご存知ですか?
世論調査の方法にはいくつかの種類があります。
調査員が直接出向いて調査対象に会い、口頭で調査をする「個人面接調査」、調査員が直接出向いて調査票を渡し、後日回収する「配付回収調査」、電話を掛けて調査を行う「電話番号調査」、調査票を郵送し、回答を記入して返送してもらう「郵送調査」、インターネット上で調査依頼を行い、フォームへの入力などで質問に対しての回答を得る「インターネット調査」などがあります。
現在、報道各社が行なう世論調査は、RDD方式による電話番号調査です。
従来は電話帳による標本抽出による調査でしたが、個人の自宅の電話番号を電話帳に掲載しない傾向が顕著となり、標本抽出方法をRDD方式に変更しています。
RDD方式とは、全国の固定電話*の電話番号の中から、ランダムな電話番号を抽出する方法です。

報道各社の調査概要(2017年8月)
新聞社・放送局 有権者のいる世帯 有効回答数 回答率
A新聞社 固定 2,098件 1,097件 52.3%
携帯 2,133件 1,056件 49.5%
B新聞社 1,656件 1,010件 61.0%
C新聞社 2,141件 933件 43.6%
D放送局 2,233件 1,309件 58.6%
E放送局  – 1,200件  –
F放送局  – 1,656件 66.8%

固定電話がない携帯電話だけの家庭が増えてきたために、携帯電話での調査を取り入れるところもありますが、携帯の電話番号は地域と関連づけられないといった問題点もあるようですね。
昨今は、固定電話を所有していても、殆ど携帯電話しか使わないという家庭も多いようですし、ましてや固定電話に限らず、携帯電話でも「知らない番号からは出ない」という方も多いのではないでしょうか。
*A新聞社は2017年4月から、C新聞社は2016年4月から携帯電話も対象に入れています。

差が生まれるのは「聞き方」
C新聞社の世論調査では内閣を支持するかを質問する際に、支持・不支持を答えなかった人に「お気持ちに近いのはどちらですか」と「重ね聞き」をしているそうです。
A新聞社ではその「重ね聞き」は行っていないので、7ポイントの差が生じているのかもしれませんね。
それにしても、現在の全国有権者数は1億人を超えているのに、2,000人程度の調査の信憑性はどうなのでしょう。
因みに内閣府の行っている世論調査は、調査員が回答者の自宅を訪問し回答者本人から直接聴取する方法(一部は郵送形式)です。
流石、内閣府というところでしょうか^^;
固定電話がほぼ全世帯に普及したことで、世論調査に電話聴取法を導入したのですから、報道各社もインターネットを世論調査に導入すればいいのにと思いますが、標本の無作為抽出が難しいのでしょうか…。
いずれの方法にせよ、盛っていない・印象操作をしていない世論調査の結果を知りたいものですね。