「失業保険」の賃金に「賞与」は含まれる?

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「失業保険」の賃金に「賞与」は含まれる?

「失業保険」による給付は何種類ある?
「失業保険(失業等給付)」は求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付の4種類、それぞれを細かく分けると下図のように14種類もあります。
雇用保険制度概要

雇用保険制度概要

「失業保険」と書きましたが、1975(昭和50)年に「雇用保険法」が施行され、「失業保険」という言葉は、現在の雇用保険の制度上には存在しません。
失業したら貰える保険ということから、現在でも「失業保険」という言葉を耳にする機会が多いですし、わかりやすいですね。
ということで、以下給付を受ける場合は「失業保険」、納付する場合を「雇用保険」で表します。

「失業保険」を貰うには…
「失業保険」の給付を受けるためには条件があります。
「雇用保険」の被保険者は、年齢や勤務形態によっていくつかの種類に分けられ、それぞれ給付の種類と基準が異なります。
ここでは、「一般被保険者に対する求職者給付」について取り上げます。
「一般被保険者に対する求職者給付」の「基本手当」の受給資格を得るためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
  • 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算で12か月以上あること*
    *会社都合によって失業した「特定受給資格者」の場合は、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算で6ヶ月以上ある場合でも要件を満たします。
  • 現在「失業の状態」にあり、かつ、すぐにでも働く意思があること(求職活動ができること)
「失業保険」はいくら貰える?
「失業保険」で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた「賃金」の合計を180で割って算出した金額である「賃金日額」のおよそ50~80%となっています。
賃金の低い方ほど高い率となっています。
また、「基本手当日額」は年齢区分ごとにその上限額が定められており、2017(平成29)年8月1日現在は下表のとおりとなっています。(下限額は全年齢共通)
下限額・上限額
離職時の年齢 賃金日額 基本手当日額
下限額
全年齢 2,470円 1,976円
上限額
29歳以下 13,420円 6,710円
30~44歳 14,910円 7,455円
45~59歳 16,410円 8,205円
60~64歳 15,650円 7,042円
基本手当日額の計算方法

基本手当日額の計算方法

賃金に賞与は含まれる?
失業保険(失業給付)の計算に含まれる「賃金」は、原則として毎月定期的な給与として支払われるものが対象となっているため、賞与は含まれません。
50451(1)賃金日額の算定の基礎となる賃金
ロ 臨時に支払われる賃金及び 3 か月を超える期間ごとに支払われる賃金は賃金日額の算定の基礎 となる賃金とはしない(法第 17 条第 1 項)。
50453(3)「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」の意義
イ 「3 か月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは算定の事由が 3 か月を超える期間ごとに発 生するものをいい、通常は実際の支払いも 3 か月を超える期間ごとに行われるものである。同一 の性格を有する賃金の支払回数が通常年間を通じて 3 回以内である場合には、当該賃金は「3 か 月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当するものと判断する。 したがって、例えば年 2 期の賞与等は「3 か月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当する。
実は、1985(昭和60)年までは賞与も含めて失業給付の額を算出していました。
当時の問題点として月例の給与と比べて賞与の額は、会社の規模や業種によって差が大きいことによる格差が生じてきたことや、高額の賞与を貰ってすぐに退職した場合には退職前の給与より多い額の失業給付を受けとってしまうケースがあるなどの問題から、算出の対象から除外されることとなりました。
雇用保険料の対象となる「賃金」では、賞与は含まれるのになんだかちょっと解せませんね^^;
参考:賃金日額算定基礎の賃金の範囲 
参考:労働保険料等の算定基礎となる賃金早見表(例示)