警察庁と厚生労働省の自殺者数は何故違う?

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警察庁と厚生労働省の自殺者数は何故違う?

自殺統計は2種類ある
日本の自殺統計には、警察庁による「自殺の概要資料」と厚生労働省統計情報部の人口動態統計による2種類があります。

まずは、統計調査の対象が異なります。
警察庁による「自殺の概要資料」は外国人を含む総人口が対象ですが、厚生労働省の「人口動態統計」では日本における日本人を対象としています。
つまり、警察庁の統計は日本における自殺者数で、厚生労働省は日本人の自殺者数ということです。 

また、警察庁は発見地・自殺死体発見時点であるのに対し、厚生労働省は住居地・死亡時点で計上します。
警察庁の「自殺の概要資料」では捜査等により、自殺であると判明した時点で、自殺統計原票を作成し計上していますが、厚生労働省の「人口動態統計」では自殺、他殺あるいは事故死のいずれか不明のときには自殺以外で処理するため、死亡診断書等について作成者から自殺の旨の訂正報告がない場合には自殺に計上していません。
このため、警察庁の「発見地・発見時点」の自殺死亡者数と厚生労働省「住所地・死亡時点」の自殺死亡者数は差が生じるのです。
2016(平成28)年の自殺者数の確定値を見てみると、警察庁21,897人、厚生労働省21,703人となっています。

都道府県別の自殺死亡率においては、他都道府県の自殺者数が多い場合は警察庁統計の自殺死亡率の方が高くなります。
例えば発見地と住居地の自殺死亡者数の差が45人と最も多い山梨県の場合(発見地192人・住居地147人)、警察庁統計の自殺死亡率は22.6%ですが、厚生労働省の自殺死亡率は17.3%となり、その差は5.3%です。
都道府県ランキングで見ると警察庁統計では山梨県は5位でしたが、厚生労働省統計では20位まで下がります。
このように、同じ「自殺」に関する統計でも、統計の対象・範囲・調査方法などの違いにより差が生じることになるのです。