医師偏在は解消するのか…

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医師偏在は解消するのか…

医師偏在指標とは?
厚生労働省が2019年2月18日、都道府県や各地域の医師数の偏りの度合いを示す「医師偏在指標」について、現時点の推計を公表しました。
現在は、地域ごとの医師数の比較に人口10万人対医師数が一般的に用いられていますが、医療ニーズや人口構成の変化などの要素が考慮されていないことから、医師の地域偏在・診療科偏在を統一的に測る「ものさし」になっていないとの問題意識から新たに導入されることになったのが、「医師偏在指標」です。
厚労省が示した計算式は、「医師偏在指標=標準化医師数/地域の人口÷10万×地域の標準化受療率比」。標準化医師数は「Σ性年齢階級別医師数×(性年齢階級別平均労働時間/全医師の平均労働時間)」。
地域の標準化受療率比は「地域の期待受療率÷全国の期待受療率」。
地域の期待受療率は「Σ(全国の性年齢階級別受療率×地域の性年齢階級別人口)/地域の人口」。
二次医療圏別にみると…
三次医療圏別(47都道府県:全国平均238.3)で最も少ない岩手県(169.3)を二次医療圏別にみると、盛岡では267.6で58位ですが、その他の医療圏は岩手中部118.9_288位・胆江126.9_275位・両磐125.8_279位・気仙118.3_289位・釜石114.4_295位・宮古86.8_330位・久慈131.6_263位・二戸113.2_296位とかなり下位になっています。
二次医療圏別で「医師偏在指標」が最も低いのは秋田県北秋田で69.6(335位)です。
最も医師偏在指標が高いのは東京都区中央部で759.7と突出しており、秋田県北秋田のおよそ11倍です。
医師偏在は解消するのか…
また、厚生労働省は2036年時点で、医師偏在解消が最も進んだ場合(上位推計)でも、12道県では5,323人分が不足、偏在解消が進まない場合(下位推計)では34道県で23,739人分の不足(他の都府県は、いずれも医師過剰)と推計しています。
都道府県では2019年4月から、「医師偏在指標」などを用いて、医師偏在対策などを盛り込んだ「医師確保計画」を策定し、2020年度から対策を本格化するとしています。
目標年度は2036年で、3年ごとに進捗状況を確認、医師の地域偏在解消を目指します。
具体的な施策としては、「医師少数区域等」で勤務する医師を認定、評価する仕組みの導入や、大学医学部の地域枠の活用などが想定されています。
何故2036年???

「必要医師数」の将来時点は何故2036年なのでしょうか。
それは、既に、2020年度と2021年度の医学部定員は、「2019年度の医学部定員を超えない範囲」とすることが決まっており、「地域枠」に「別枠方式」を2022年度から徹底しても、その効果が十分に出るのは2036年度以降と想定されることなどが理由だそうです。
世界一病院が多い日本ですが、人口1000人あたりの医師数は2.3人で93か国中40位です。
「医師が増えると医療費も増えるから医師は増やさない」とも聞いたことがありますが、日本のどこに住んでいても適切な診療を受けるためにもなんとかしていただきたいものです。