エキノコックス症

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エキノコックス症

「エキノコックス症」は、単包条虫(Echinococcus granulosus)または多包条虫(E. multilocularis)の幼虫による感染症のことです。
単包条虫は、地中海・中東・オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ・および南米の牧羊地域でよくみられます。イヌ科の動物が終宿主で、草食動物(ヒツジ・ウマ・シカ等)またはヒトが中間宿主です。
多包条虫はキツネに寄生し、幼虫は小型の野生齧歯(げっし)類(リス・ヤマアラシ・ネズミ等)にみられます。ときにヒトへの感染が起きますが、その主な感染源はイヌやその他のイヌ科動物です。キタキツネや犬が多包条虫とよばれる寄生虫に感染し、糞便と一緒に排泄された虫卵が、何らかの拍子にヒトの体内に侵入し、重い肝機能障害を起こす病気です。潜伏期間は5~15年で、発症すると病巣を完全に切除する以外に有効な治療法はありません。日本では北海道だけに存在すると考えられてきましたが、2005年には埼玉県で捕獲された犬の糞便から、また、2014年4月には愛知県知多半島で捕獲された犬からエキノコックスの虫卵が確認されています。