「在郷軍人病」って???

ちょっと便利帖

ちょっと豆知識

「在郷軍人病」って???

「在郷軍人病」とは、1976年米国フィラデルフィア市の某ホテルで7月21~24日に開催されたアメリカ在郷軍集会(Legion)の年次総会参会者約4000人のうち、184人に劇症肺炎が発生し、そのうち24人が死亡、また会場のホテルから排出された冷房風に当たった通行人39人が同じ病気にかかり、5人が死亡したという事件を契機として命名された疾患で、「レジオネラ肺炎」のことです。
「レジオネラ症(legionellosis)」は、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)を代表とする「レジオネラ属菌」による細菌感染症のことで、「レジオネラ属菌」は、自然界(河川、湖水、温泉や土壌など)に生息している細菌です。
「レジオネラ症」の主な病型として、重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎(在郷軍人病)」と、一過性で自然に改善する「ポンティアック熱」が知られています。
「ポンティアック熱」は、1968年に起こった米国ミシガン州ポンティアック(Pontiac)における集団感染事例にちなんで命名されました。

レジオネラ症の潜伏期間は、2~10日です。
「レジオネラ肺炎」では、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られるようになり、まれですが、心筋炎などの肺以外の症状が起こることもあります。
「レジオネラ肺炎」では、適切な治療がなされなかった場合には急速に症状が進行することがあり、命にかかわることもあります。
これに対して、「ポンティアック熱」では、突然の発熱、悪寒、筋肉痛などの症状がみられますが、またそれらは一過性のもので、自然に治癒し、死に至ることはありません。

「レジオネラ症」は、主に「レジオネラ属菌」に汚染されたエアロゾル(細かい霧やしぶき)の吸入などによって、細菌が感染して発症しますが、ヒトからヒトへ感染することはありません。

  1. エアロゾル感染
     レジオネラ属菌に汚染されたエアロゾルを吸入することによって感染する。
    代表的なエアロゾル感染源としては、冷却塔水、加湿器や循環式浴槽など。
  2. 吸引・誤嚥
     エアロゾル感染以外に、温泉浴槽内や河川で溺れた際に汚染された水を吸引・誤嚥したことによる感染事例が報告されている。
  3. 土壌からの感染
     レジオネラ属菌が汚染された腐葉土の粉塵を吸い込んだことが原因と推定される感染事例が報告されている。

レジオネラ症は、感染症法上の四類感染症に分類されており、全数報告対象です。