成人T細胞白血病

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成人T細胞白血病

「成人T細胞性白血病(ATL:adult T-cell leukemia-lymphoma)」は、ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV-Ⅰ:Human T-cell Leukemia Virus type-1)の感染により生じる血液のがんです。
主な感染経路は、母親から子供への母乳を介した母子感染。
国立感染症研究所によると、成人T細胞性白血病はHTVT-1キャリアに5~10%の頻度で発症し、2年以内にほとんどの方が亡くなっているとのことです。
全国のキャリア数はおおよそ100万人で、発症数は約700例。
また、長崎県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県のキャリア率が約5%で、国内のキャリア数の三分の一を占めています。
感染してから血液がん症状(白血病やリンパ腫)が出るまでに数十年を要し、「成人T細胞性白血病」の発症は40歳以上で60~70歳代です。
「成人T細胞性白血病」の治療は、白血病の中でも難しい部類に入り、依然として捗々しくありません。
近年、健康な人の造血幹細胞を移植する「同種造血幹細胞移植」が行われるようになり、3年生存率が40%と化学療法(3生存率:25%)よりも高い効果が期待できますが、ドナーの確保が困難という問題もあります。
HTLV-1感染疾患はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染疾患と同様、強い免疫不全を呈する疾患です。
「成人T細胞性白血病」発症者の治療の問題とは別に日常診療ではHTLV-1キャリア(感染しているが未発症)を見逃さないことが重要になります。
何らかの免疫不全状態が疑われた場合、HIVの検査とHTLV-1の検査が不可欠です。
※「成人T細胞白血病(ALT)」は、白血病だけでなく、リンパ腫(Lymphoma)の形をとることもあるために「成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)」と呼ぶこともあります。


2023年6月16日に、65歳で亡くなった元広島東洋カープの北別府学(鹿児島県出身)さんは、2020年1月20日に「成人T細胞性白血病」と診断されたと公表、62歳での発症でした。