国民健康保険料はなぜ高い?
ちょっと雑学
国民健康保険料はなぜ高い?
社会保険に加入していた人が、退職などの理由で国民健康保険に変更し場合、市町村から送付された納付書を見てその保険料の高さに驚いたという話をよく耳にしますが、国民健康保険料はどのようにして決まるのでしょうか。
国民健康保険料の計算方法
国民健康保険の保険料(国民健康保険税)は、医療分保険料・後期高齢者支援金分保険料・介護分保険料(40歳以上65歳未満)この3つの合計額です。
それぞれについて、所得割・資産割・均等割・平等割から保険料を算出します。まずは、所得金額を調べます。所得金額とは、すべての収入から経費を差し引いた金額です。
サラリーマン・パートなどの給与所得者の場合は、給与所得控除額を差し引いた金額です。
所得金額がわかったら、所得金額から基礎控除額の33万円を引きます。
ここで出た金額が「賦課基準額」です。
この基準額を元に、先程の所得割・資産割・均等割・平等割を求めます。
それぞれについて、所得割・資産割・均等割・平等割から保険料を算出します。まずは、所得金額を調べます。所得金額とは、すべての収入から経費を差し引いた金額です。
サラリーマン・パートなどの給与所得者の場合は、給与所得控除額を差し引いた金額です。
所得金額がわかったら、所得金額から基礎控除額の33万円を引きます。
ここで出た金額が「賦課基準額」です。
この基準額を元に、先程の所得割・資産割・均等割・平等割を求めます。
所得割 | 所得に応じて金額を計算する |
資産割 | 持っている土地や家の価値によって計算する |
均等割 | 世帯人数に応じて計算する |
平等割 | 1世帯あたりで計算する |
(料率は市町村により異なります。資産割と平等割を設けていない市町村もあります。)
では、実際に計算してみましょう。
今回は、県庁所在地の国民健康保険料で平均値に近い大阪市の料率で試算しています(大阪市には資産割はありません)。
所得割 | 均等割 | 平等割 | |
---|---|---|---|
医療分 | 8.00% | 20,118円 | 32,850円 |
支援分 | 2.82% | 7,068円 | 11,451円 |
介護分 | 2.50% | 8,020円 | 9,551円 |
世帯主年収が400万円の場合
単身世帯
介護保険あり | 399,504円 |
---|---|
介護保険なし | 323,685円 |
介護ありの場合、総所得金額の15%を国民健康保険料が占めることになります。
3人世帯
試算条件:国保への加入者数3人、世帯主(42歳)の収入4,000,000円、加入者1収入あり(下記)、加入者2(12歳)の収入0円と設定した場合です。
妻の年収 | 総所得金額 | 3人世帯の国民健康保険料 |
---|---|---|
98万円 | 330,000円 | 453,876円 |
100万円 | 350,000円 | 456,040円 |
103万円 | 380,000円 | 459,286円 |
106万円 | 410,000円 | 462,532円 |
130万円 | 650,000円 | 488,500円 |
給与収入 | 総所得金額 | 単身世帯介護なし | 単身世帯介護あり | 軽減 |
---|---|---|---|---|
980,000円 | 330,000円 | 21,472円 | 26,743円 | 7割 |
1,000,000円 | 350,000円 | 37,952円 | 47,237円 | 5割 |
1,030,000円 | 380,000円 | 41,198円 | 51,233円 | 5割 |
1,060,000円 | 410,000円 | 44,444円 | 55,229円 | 5割 |
1,300,000円 | 650,000円 | 91,884円 | 113,940円 | 2割 |
2,000,000円 | 1,220,000円 | 167,875円 | 207,696円 | |
3,000,000円 | 1,920,000円 | 243,615円 | 300,936円 | |
4,000,000円 | 2,660,000円 | 323,683円 | 399,504円 | |
5,000,000円 | 3,460,000円 | 410,243円 | 506,064円 | |
6,000,000円 | 4,260,000円 | 496,803円 | 612,624円 | |
7,000,000円 | 5,100,000円 | 587,691円 | 724,512円 | |
8,000,000円 | 6,000,000円 | 685,071円 | 844,392円 | |
9,000,000円 | 6,900,000円 | 730,000円 | 890,000円 | |
10,000,000円 | 7,800,000円 | 730,000円 | 890,000円 |
上限額が低いから高い?
国民健康保険料の最高限度額はこれも市町村によって異なりますが、今年度から医療分54万円・支援金分19万円・介護分16万円(合計89万円)としているケースが多いようです。
大阪市の場合、総所得額がおおよそ6,418,000円で上限額89万円に達します。
国民健康保険の平均所得は1世帯あたり1,444千円、一人あたり861千円です。
所得が700万を超える高所得層は全体(擬制世帯を除く)の2.5%、400万以上で7.1%。
200万未満の世帯が76.1%を占め、そのうち所得なしの世帯が23.1%です。
所得が1000万円を超える高所得者は、上限に達しており保険料は変わらないため、所得が増えれば増えるほど、所得における保険料の負担割合が軽くなります。
低所得者層には、軽減措置がありますが、中間所得層にはありません。
(市区町村によって減額方法・減額割合は異なります。一般的には前年の世帯所得と世帯内の加入者数(世帯主を除く)によって減額割合が7割・5割・2割という段階で軽減されます)
つまり、中間所得層の負担割合が大きいのが国民健康保険です。
高齢者が多いから高い?
厚生労働省によると、平成26年9月末現在の国民健康保険(市町村)の被保険者数は、33,694千人。
このうち65歳から74歳が12,497千人と全体の37.1%を占めています。
65歳以上の医療費は239,066億円で全体の 58.6%を占めています。
人口一人あたりにすると72万4,400円(男77万4,300円、女68万6,700円)。
平成26年度の国民医療費総額は40兆8,071億円(うち保険料は19兆8,740億円)。
昭和29年の国民医療費は2,152億円ですから、おおよそ190倍です。
このまま医療費が増え続けるとどうなるのでしょう。
国民健康保険料も増え続けるということでしょうか^^;
このうち65歳から74歳が12,497千人と全体の37.1%を占めています。
65歳以上の医療費は239,066億円で全体の 58.6%を占めています。
人口一人あたりにすると72万4,400円(男77万4,300円、女68万6,700円)。
平成26年度の国民医療費総額は40兆8,071億円(うち保険料は19兆8,740億円)。
昭和29年の国民医療費は2,152億円ですから、おおよそ190倍です。
このまま医療費が増え続けるとどうなるのでしょう。
国民健康保険料も増え続けるということでしょうか^^;
扶養控除がないから高い!
健康保険は会社と折半しているので自己負担は半額ですが、国民健康保険は全額自己負担に加え、国民健康保険には扶養控除がありません。
一部、独自の減額制度で扶養控除がある市町村もありますが、基本的に「扶養家族」という概念がありません。
国民健康保険は「世帯」ごとに加入のため、保険料計算も世帯収入に基いて行われます。
同一世帯の加入者が多ければ多いほど保険料は高くなるのです。
単純に考えても、同じ年収でも会社が半額負担してくれる健康保険と全額負担の国民健康保険では保険料は倍になり、家族が多ければ多いほど高くなるのです。
また、ひとり親世帯に特化した制度もありませんが、所得が基準以下の家庭、退職や倒産など何らかの理由により収入が大きく減少した場合に保険料の支払いが困難なときには、保険料を減免できる場合があります。
一部、独自の減額制度で扶養控除がある市町村もありますが、基本的に「扶養家族」という概念がありません。
国民健康保険は「世帯」ごとに加入のため、保険料計算も世帯収入に基いて行われます。
同一世帯の加入者が多ければ多いほど保険料は高くなるのです。
単純に考えても、同じ年収でも会社が半額負担してくれる健康保険と全額負担の国民健康保険では保険料は倍になり、家族が多ければ多いほど高くなるのです。
また、ひとり親世帯に特化した制度もありませんが、所得が基準以下の家庭、退職や倒産など何らかの理由により収入が大きく減少した場合に保険料の支払いが困難なときには、保険料を減免できる場合があります。
滞納世帯が多いから高い?
国民健康保険は赤字です。
厚生労働省によると、単年度収支差でみた場合、赤字保険者の全体に占める割合は 56.4%(1716 保険者中 967 保険者)で、前年度から 62 保険者増加し、赤字額も赤字保険者の合計で 863 億円となり、 前年度から 104 億円増加しています。
では、滞納世帯数はどれだけかと、平成 27 年6月1日現在における保険料(税)に一部でも滞納がある世帯数は、336.4 万世帯(前年より 21 万世帯減少)。
市町村国保の全世帯に占める滞納世帯の割合16.7%です。
また、短期被保険者証交付世帯は 101.9 万世帯、資格証明書交付世帯は 23.4 万世帯。
会社の健康保険であれば保険料は給料から天引きされますから、滞納という概念はありませんよね。でも、国民健康保険は基本的に自分で納付しなければならないことから、滞納者が出てしまいます。
また、保険料の納付回数が年12回でない市町村もあることも、保険料を更に高く感じるのではないでしょうか。
最も少ない場合は3回という市町村もあります。
例えば年間24万円の保険料の場合、12回だと月2万円ですが、年8回だと月3万円。
年間では同じ金額ですが、一度にお財布からでる金額で1万円の差は大きいですよね。
滞納すればその分の保険料の負担が被保険者にのしかかってくるので保険料の負担割合が多くなります。。
厚生労働省によると、単年度収支差でみた場合、赤字保険者の全体に占める割合は 56.4%(1716 保険者中 967 保険者)で、前年度から 62 保険者増加し、赤字額も赤字保険者の合計で 863 億円となり、 前年度から 104 億円増加しています。
では、滞納世帯数はどれだけかと、平成 27 年6月1日現在における保険料(税)に一部でも滞納がある世帯数は、336.4 万世帯(前年より 21 万世帯減少)。
市町村国保の全世帯に占める滞納世帯の割合16.7%です。
また、短期被保険者証交付世帯は 101.9 万世帯、資格証明書交付世帯は 23.4 万世帯。
会社の健康保険であれば保険料は給料から天引きされますから、滞納という概念はありませんよね。でも、国民健康保険は基本的に自分で納付しなければならないことから、滞納者が出てしまいます。
また、保険料の納付回数が年12回でない市町村もあることも、保険料を更に高く感じるのではないでしょうか。
最も少ない場合は3回という市町村もあります。
例えば年間24万円の保険料の場合、12回だと月2万円ですが、年8回だと月3万円。
年間では同じ金額ですが、一度にお財布からでる金額で1万円の差は大きいですよね。
滞納すればその分の保険料の負担が被保険者にのしかかってくるので保険料の負担割合が多くなります。。
滞納したらどうなる?
- 災害など特別な事情がないのに保険税を滞納していると未納期間に応じて以下のような措置が適用されます。
- 6ヶ月以上滞納すると
保険証の切り替え時に、有効期間の短い「短期被保険者証」が交付される。 - 1年以上滞納すると
「被保険者証」を返還することになり、「被保険者資格証明書」が交付される。
医療費の負担が一旦全額自己負担になります。
この場合、払った医療費については、後日申請することで本来の自己負担分を除いた額が国保から払い戻されます。
(この給付金については、原則国保の滞納に充当されます。) - 1年6ヶ月以上滞納すると
国保の保険給付(高額療養費、出産育児一時金など)を受ける場合に、その費用の一部または全部を差し止められることがあります。 - 上記の滞納措置の他にも、財産(預貯金等)の差し押さえられたり、高額療養費の現物給付などさまざまな制度が利用できなくなります。
保険料の場合は2年、保険税の場合は5年。
時効を成立させるためには滞納を始めた日から時効成立日まで一度も請求が無かった場合に限られます。
何らかの事情で保険料を収めることができない時は、自治体に行って相談しましょう。
倒産・解雇・雇止めなどの理由で離職した場合は、一定の条件を満たせば、前年の給与所得を30/100に減額して計算してもらえます。
厚生労働省:「非自発的失業者に係る国民健康保険税(国保税)の軽減」について
離職をした場合は、「離職票」が届いたら、直ぐにハローワークに行き手続きをし、「雇用保険受給資格者証」が交付されたら、お住いの地域の役所で軽減の届出をしましょう。
会社によっては、「離職票」が届くのに時間が掛かる場合もありますが、10日以上経っても届かない場合は、一度勤務していた会社に連絡を取ってください。
それでも届かない場合は、ハローワークに相談に行きましょう。
また、納期限までに支払えそうにない場合も分割納付などに応じてくれます。
健康だから、病院には行くことはないから国民健康保険に加入しなくてもいいのではありません。日本では何かしらの健康保険に加入しなければなりません。これは義務です。
国保の未加入で、もし手続きが遅れているということであれば、その期間中に病気やケガで病院へ行ったときに、全額を自己負担することになります。
どう変わる?
平成30年度から国民健康保険の制度が変わるようです。
「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律の概要(平成27年5月27日成立)」
絶対に覚えられそうにない長い名前の法律ですね。
市町村から都道府県に移管することで保険料の地域差や中間所得層の負担が少しでも緩和されればいいのですが、どうなるのでしょうね。
「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律の概要(平成27年5月27日成立)」
絶対に覚えられそうにない長い名前の法律ですね。
市町村から都道府県に移管することで保険料の地域差や中間所得層の負担が少しでも緩和されればいいのですが、どうなるのでしょうね。