8.8万円に通勤手当は含まれる?
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8.8万円に通勤手当は含まれる?
何人が適用拡大の対象になった?
2016年10月にパートなどで働く短時間労働者に、厚生年金・健康保険を適用する制度改正がスタートして1年が経ちましたが、いったい何人がその対象になったのでしょう。
厚生労働省は週20~30時間の短時間労働者約400万人のうち当初25万人が対象者となると想定していましたが…、
厚生労働省は週20~30時間の短時間労働者約400万人のうち当初25万人が対象者となると想定していましたが…、
2016年11月10日時点で、新たに被保険者になったのは201,103人でした。
参考:厚生労働省年金局事業管理課によると、平成28年10月からの501人以上の企業における適用拡大の実績は以下のようになっています(*従業員500人以下の地方公共団体の事業所を含む)。
特定適用事業所数 | 被保険者となった短時間労働者数 | |
---|---|---|
平成28年11月10日時点 | 25,706事業所 | 201,103人 |
平成29年 1月31日時点 | 26,931事業所 | 280,113人 |
平成29年 6月30日時点 | 29,669事業所* | 337,930人 |
そもそも短時間労働者って?
「短時間労働者(パートタイム労働者)」は、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされています。
今回の改正の適用拡大対象における短時間労働者とは、勤務時間・勤務日数が常時雇用者の3/4未満で、かつ、以下の1~5すべてに該当する方のことをいいます。
今回の改正の適用拡大対象における短時間労働者とは、勤務時間・勤務日数が常時雇用者の3/4未満で、かつ、以下の1~5すべてに該当する方のことをいいます。
5要件
- 1.週の所定労働時間が20時間以上であること
- 2.雇用期間が継続して1年以上見込まれること
- 3.月額賃金が8.8万円以上であること
- 4.学生でないこと
- 5.勤め先の会社の従業員数(正社員など)が、501人以上であること*
*短時間労働者が新設された当初、短時間労働者は、特定適用事業所(従業員501人以上の企業等)に勤めている方だけが対象でしたが、2017(平成29)年4月に適用拡大され、任意特定適用事業所及び国・地方公共団体(500人以下の地方公共団体を含む)に属する事業所に勤めている方も対象となりました。
130万円の壁はなくなったの?
これまでは社会保険の被扶養者(第3号被保険者)かどうかを判断する年収130万円が基準でしたが、「月額賃金が8.8万円以上」つまりは「106万円の壁」ができたことで、「130万円の壁」がなくなったのでしょうか。
今回の改正は、上記の5要件を満たした方が国民年金・国民健康保険ではなく、厚生年金保険・健康保険に加入するというものですから、5要件を満たさない人はこれまで通り「130万円の壁」はあるということになります。
今回の改正は、上記の5要件を満たした方が国民年金・国民健康保険ではなく、厚生年金保険・健康保険に加入するというものですから、5要件を満たさない人はこれまで通り「130万円の壁」はあるということになります。
年金・健康保険の被保険者区分について
5要件を満たした場合の負担額は?
月額賃金8.8万円ですべての要件を満たした場合の自己負担額はいくらになるのでしょう。
厚生労働省では、下図をモデルケースとしています。
上の表のように、Aさんの等級は1、BさんとCさんは2、Dさんは3になります。
4人全員が40歳以上で東京都に住んでいると仮定した場合の社会保険の料率は以下のとおりですから、
4人の保険料は以下のようになり、通勤手当が5,000円のBさんと12,800円のCさんの負担額は同じ14,631円になります。
(小数点以下を四捨五入して掲載) 等級の()内数値は、健康保険の等級
厚生労働省では、下図をモデルケースとしています。
保険料と年金額のモデルケース
「月額8,000円の負担ならば、なんとか…。」と思った方も多いのではないでしょうか。
上の図内に記載されている保険料は厚生年金の保険料だけで、健康保険の保険料は含まれていないので、更に健康保険保険料、40歳以上の方は介護保険料がプラスになります。
厚生年金保険の保険料を保険料率18.182%で計算していますが、2017年9月分から18.300%に引き上げられています。
月額賃金が8.8万円の方が現行の保険料率で厚生年金・健康保険でいくら払うことになるかというと、通勤手当などで標準報酬月額の等級が変わり、負担する社会保険料も違ってきます。
仮に月額賃金は皆同額の8.8万円で手当は通勤手当のみとして、Aさんの通勤手当は4,800円、Bさんは5,000円、Cさんは12,800円、Dさんは13,000円で、だとすると…、
月額賃金 | 通勤手当 | 総支給額 | 等級 |
---|---|---|---|
88,000円 | |||
A さん | 4,800円 | 92,800円 | 1 |
B さん | 5,000円 | 93,000円 | 2 |
C さん | 12,800円 | 100,800円 | 2 |
D さん | 13,000円 | 101,000円 | 3 |
4人全員が40歳以上で東京都に住んでいると仮定した場合の社会保険の料率は以下のとおりですから、
東京都 | 厚生年金 | 健康保険 | 介護保険 |
---|---|---|---|
保険料率 | 18.300% | 9.910% | 1.650% |
9.150% | 4.955% | 0.825% |
(小数点以下を四捨五入して掲載) 等級の()内数値は、健康保険の等級
東京都 40歳以上 |
等級 | 厚生年金 | 健康保険 介護保険 |
合計 |
---|---|---|---|---|
Aさん | 1(4) | 8,052円 | 5,086円 | 13,138円 |
B・Cさん | 2(5) | 8,967円 | 5,664円 | 14,631円 |
Dさん | 3(6) | 9,516円 | 6,011円 | 15,527円 |
月額賃金で算入しない「通勤手当」が…
厚生年金保険・健康保険の加入対象要件の月額賃金8.8万円に「通勤手当」は算入されませんが、報酬月額は「通勤手当」を加えて算出するため、前述のように賃金が同額であるにも関わらず、「通勤手当」の額によって保険料に差が出ることになります。
8.8万円の賃金で13,000円以上手取りが減り、「通勤手当」で差が出るなんて…。
厚生労働省は「働くことができなくなった老後に年金が増えるなど、給付がより厚くなるという加入のメリットがある」と言っています。
これまで国民年金だった方は、給料から徴収される健康保険や介護保険などの負担は増えますが、国民年金のときに比べ全体の保険料負担は減少するので、メリットを直ぐに感じられますが、保険料の負担がない第3号被保険者だった方にとっては長生きしないとメリットを感じることはできないということになりますね^^;
8.8万円の賃金で13,000円以上手取りが減り、「通勤手当」で差が出るなんて…。
厚生労働省は「働くことができなくなった老後に年金が増えるなど、給付がより厚くなるという加入のメリットがある」と言っています。
これまで国民年金だった方は、給料から徴収される健康保険や介護保険などの負担は増えますが、国民年金のときに比べ全体の保険料負担は減少するので、メリットを直ぐに感じられますが、保険料の負担がない第3号被保険者だった方にとっては長生きしないとメリットを感じることはできないということになりますね^^;