2025年問題を考える…

ちょっと雑学

「2025年問題」って?

団塊の世代が後期高齢者に…

よく耳にする「2025年問題」って何のことでしょう。
2025年問題とは、「団塊(第一次ベビーブーム)世代」が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達することによって、介護・医療費など社会保障費の急増が懸念される問題のこと。
「団塊世代」とは、狭義では1947(昭和22)年~1949(昭和24)年生まれ。
この3年間の出生数は約800万人。
1949年の出生数269万6638人は戦後の統計において過去最多です。
平成27(2015)年には「団塊世代」が前期高齢者(65~74歳)に到達します。
その10年後の2025(平成37)年には高齢者人口は約3,635万人に達し、65歳以上の高齢者人口が3割、75歳以上の高齢者人口が2割弱になると推計されています。
また、「2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計(厚生労働省)」では、2025年度に介護職員が約253万人必要になるのに対して、供給の見込みは約215万人で、37.7万人不足すると推計されています。

介護人材の不足は外国人で?
11月18日に、外国人労働者の受け入れを拡大するための法律が成立しました。
在留資格に「介護」を追加する改正「出入国管理・難民認定法」と、「外国人技能実習制度」を拡充する法律です。
これまで外国人介護士においては、経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)の枠組みに限り、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国から、介護士をめざす研修生を介護現場で受け入れています。
施設で4年間働きながら、介護の知識と技術を身につけ、介護福祉士の国家試験に合格すると、実質的に制限なしに働き続けることができるというものです。
しかしながら、滞在期間を限定しているうえ、現地の資格や日本語能力が条件とハードルが高く、平成20年度から平成27年度の累計で、介護分野での受入人数は平成27年度までの累計は2,069人。
このうち介護福祉士資格取得者は352人で、このうち就労中は249人というのが現状です。
平成28年度のEPAでの合格者は28名で、合格率は50.9%で初の50%越えとなりました。
因みに第28回介護福祉士国家試験での受験者数は152,573人、合格者は88,300人で、合格率は57.9%でした。
これまでの合格者は1,170,544人です。
EPAによる合格率は前回より上がりましたが、全受験者の合格率は下がっています。

受験者数 合格者数 合格率
全受験者 第27回 153,808人 93,760人 60.96%
第28回 152,573人 88,300人 57.87%
EAP 第27回 174人 78人 44.83%
第28回 161人 82人 50.93%

今回の法改正で、介護人材不足を全て解決することは困難な状況と思われます。

外国人訪問介護解禁
2017年4月からは、前述のEPAに基づき、介護福祉士の資格を取得した人を対象に、訪問介護が解禁となります。
高齢者の自宅でトイレや食事の介助などが可能になるわけですが、円滑なコミュニケーションができるのか、また利用者の中には外国人の受入に抵抗がある人も多く見受けられるなどが懸念されます。
こういう状況を受けて、事業者は入居者とのトラブルを回避したいために躊躇する声もあがっており、一気に人材不足解消には繋がらないようです。
ところで要介護者の人数はどのくらい?
65~74歳と75歳以上の被保険者について、それぞれ要支援、要介護の認定を受けた人数みると、65~74歳で要支援の認定を受けた人は246,439人、要介護の認定を受けた人は515,133人。
75歳以上では要支援の認定を受けた人は1,477,083人、要介護の認定を受けた人は3,896,862人となっています。

要支援認定者数 要介護認定者数
65~74歳 246,439人 515,133人
75歳以上 1,477,083人 3,896,862人

65歳以上の要支援・要介護者数は6,135,517人です。
都道府県別要支援・要介護認定者数はこちら 
都道府県別要支援・要介護認定率はこちら

5人に1人が認知症
日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。
2025年には700万人を超えるとも言われています。
65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症という時代が差し迫っています。
2018年8月から、現役並み所得高齢者は、介護サービス利用の負担が3割になるとか…。
対象は年金収入だけで年収383万円以上の単身者など。
2015年8月に、単身で年金収入だけの場合、年収280万円以上の人が2割負担になったばかりです。
1か月の負担が上限を超えた場合に払い戻しを受けられる「高額介護サービス費」の制度についても、住民税が非課税の場合などを除いて、上限を37,200円から44,000円に引き上げる方針。
こちらも、2015年8月に、現役並み所得相当の方がいる世帯が引き上げられたばかりです。
厚生労働省:高額介護サービス費の基準
このまま、このまま少子高齢化が進むと、どうなるのでしょうか。
甞て、健康保険の医療費自己負担が引き上げられたように、介護サービス利用も非課税世帯も3割負担となるかもしれませんね。

因みに健康保険(会社員本人の場合)は、1984(昭和59)年に定率1割の自己負担になり、1997(平成9)年に2割、2003(平成15)年に3割と引き上げられました。

2025年問題の解決策は?
厚生労働省は、市区町村が主体となる「地域包括ケアシステム」の整備を推進しています。
「地域包括ケアシステム」とは、2025(平成37)年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制。詳しくはこちら
地域包括ケアシステムのポイントは、国ベースではなく自治体ベースでの取り組みと「施設から在宅へ」。
地域包括ケアシステム共通の考え方は「自助」「互助」「共助」「公助」。

自助 自分のことは自分でする・自らの健康管理
互助 ボランティア活動・住民組織の活動
共助 介護保険などの社会保険制度及びサービス
公助 一般財源による高齢者福祉事業など・生活保護

地域包括ケアシステムでの問題点の一つが地域間格差。
現時点でも介護サービス提供のあり方にばらつきがあるのですから、今以上に差が開くことも考えられますよね。
「可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続ける」ということは誰でもが望むことではありますが…。
自宅の看取りのために、健康なうちから家族やかかりつけ医などと「理想の最期」をしっかりと話し合っておくことが大切です。
「地域密着型」といえば聞こえはいいですが、「在宅介護」はそんなに生易しいものではありません。
また、厚生労働省では「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」なるものを推進しています。
オレンジプランと聞いて、携帯料金のプランかと思われた方もいるのでは?^^;
これは、内閣官房、内閣府、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省などの関係省庁と共同して策定したもので、認知症高齢者等の日常生活全体を支えていくための基盤。
詳しくはこちら
近年、認知症によるとみられる高齢者ドライバーの自動車事故・認知症患者による鉄道事故といった言葉を耳にする機会が増えました。
徘徊症状がある認知症の男性(当時91:要介護4)が電車にはねられ死亡した事故では、妻も要介護1。
先日のご主人のお見舞いに行った病院内の駐車場で83歳女性が起こした交通死亡事故では、認知症は見受けられないとのことでしたが、どちらも「老老介護」が引き起こした事故ともいえます。
「老老介護」に「ダブルケア」、そして「認認介護」。
次はどんな「○○介護」が出てくるのでしょうか…。
とりあえず、自分自身が健康であることが大切ですね。

ちょっと豆知識
11月28日は何の日?
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