最低賃金は2種類ある?

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最低賃金は2種類ある?

最低賃金制度とは
最低賃金は、企業が従業員に最低限支払わなければならない賃金のことです。
法律で義務付けられていて違反した企業には罰則があります。
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めたとしても、法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、企業は従業員に最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。
最低賃金は2種類あることをご存知ですか?
最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。
「地域別最低賃金」は、産業や職種による制限はなく、正社員・契約社員・派遣社員・臨時・嘱託・パート・アルバイトなど、雇用形態や呼称に関係なく、働く全ての労働者と会社(使用者)に適用されます。
報道などでよく見聞きするのはこの「地域別最低賃金」です。
「地域別」といいますが、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考にしながら、各都道府県の地方最低賃金審議会での地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長により決定されるので、都道府県ごとに「最低賃金(地域別)」があります。
もう一つの「最低賃金」は、「特定最低賃金」です。
特定最低賃金はどう違う?
「地域別最低賃金」が、各都道府県で働く全ての労働者とその企業(使用者)に対して適用される「最低賃金」であるのに対し、「特定最低賃金」は特定の産業について設定されている「最低賃金」です。
「特定最低賃金」は聞き慣れない、初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。
「特定最低賃金」は、2007年の最低賃金法改正(2008年7月施行)により規定されていて、特定の事業もしくは職業ごとに設定されています。
「地域別最低賃金」と同様、都道府県で対象となる事業や職種が決まっており、全般的に最低賃金が「地域別最低賃金」より高いのが特徴のようです。
平成28年3月末現在、全国で235件の「特定最低賃金」が定められています。
例えば、北海道では、地域別最低賃金は786円ですが、処理牛乳・乳飲料、乳製品、糖類製造業では830円、鉄鋼業では900円など。
詳しくはこちら 厚生労働省「特定最低賃金の全国一覧」
また、厚生労働省は最低賃金に関する特設サイトを設けています。
特設サイトでは、全国の「地域別最低賃金」、「特定最低賃金」を調べることができます。
仮に北海道で時給が770円だった場合下記のように表示されます。
770円<786円
あなたの賃金 770円は、北海道 [地域別] 最低賃金時間額786円に比べて 16円 低く、最低賃金額以下となっています。
saiteitinnginn
「地域別最低賃金」及び「特定最低賃金」の両方が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
最低賃金1,000円は実現可能?
2007年には、ワーキングプアが問題視され、政労使の3者が最低賃金を引き上げていくことで合意しました。
また、最低賃金が生活保護の受給水準を下回るいわゆる「逆転現象」が起きている地域の解消を目指して最低賃金を決めるように法律が見直された結果、賃金が持続的に引き上げられてきました。
2015年には厚生労働省の中央最低賃金審議会小委員会が国が定める最低賃金(時給)で働いた場合の手取り収入が生活保護基準を下回る「逆転現象」は起きていないという調査結果を示していますが…、実際はどうでしょうね^^;
2010年当時の政府が「2020年には最低賃金1,000円に」を目標に掲げていましたが、実現時期は大幅に先送りとなりました。
平成28年度の全国加重平均最低賃金時給額は823円と800円を超えていますが、800円を超えている都道府県は僅か9都府県です。最低賃金額ランキングはこちら 
最低賃金時給額は823円が、毎年3%ずつ賃上げされれば、2023(平成35)年度には1,012円となります。
最高額の東京都の場合は、現在932円ですから、2019(平成31)年度には1,018円となりますが、宮崎県と沖縄県の最低額714円の場合は、2028(平成40)年度にようやく1,018円、平均額より5年、最高額より9年も遅いのです。
saiteitinnginn地域により物価水準が違いますから、一律1,000円は難しいでしょうし、毎年3%の賃上げに、大企業は耐えることができても、中小企業にとっては難しい局面もあると思います。
ましてや、零細企業となると…。
景気が良くなり、お給料も増えればいいのですが、なかなか難しいのが現状でしょうか。